第1 公益通報とは?
公益通報とは、役員や労働者、退職者などが勤務先において不正行為があった場合に、勤務先や外部に通報することです。
公益通報者保護法では、公益通報の仕組みや公益通報をしたことによって解雇やその他の不利益な取り扱いをすることを禁止する等を定めています。
第2 大きな改正点
令和7年に公益通報者保護法が改正され、令和8年12月1日から施工される予定です。主な改正点は次の通りです。
なお、改正事項は他にもあり、ここで紹介したのは一部に過ぎません。また、紙面の都合もあり概要の記載に留まっています。
①従事者指定義務違反に対する刑事罰
常時雇用する労働者が301人以上の事業者は、公益通報に適切に対応するため体制を整備する義務(以下、「体制整備等義務」といいます)があり、体制整備等義務の中核となるのが公益通報業務への従事者を定める義務(以下、「従事者指定義務」といいます)です。
改正法では、従事者指定義務に関して、行政からの立入検査等を拒否したり、従事者指定義務違反に対する行政からの是正命令にも従わなかった場合には刑事罰が科されます。
②公益通報を妨げる行為の禁止
事業者が労働者等に対して、正当な理由なく公益通報をしない旨の合意を求める等により公益通報を妨げることを禁止しています。
また、正当な理由なく通報者を探索することも禁止しています。
③公益通報を理由とする不利益な取り扱いした場合の罰則
公益通報を理由として解雇または懲戒をした場合、法人に加えて解雇などをした人も刑事罰が科されます。
第3 改正による影響
これまでも、常時雇用する労働者が301人以上の事業者では、公益通報に適切に対応するための体制整備義務がありました。しかし、体制整備等義務を遵守していなくても罰則はありませんでした。
改正後は、従事者指定義務に違反した場合には刑罰が科される可能性があるため、本当の意味で、公益通報に適切に対応するため体制整備が義務化されたともいえます。
また、公益通報を理由として解雇や懲戒をした場合に、法人だけでなく個人にも刑罰を科すことができます。
このように、法改正によって、違反した場合の罰則が定められました。
事業者は、しっかりと公益通報者保護法を理解して対応していく必要があります。
第4 公益通報保護制度と弁護士
公益通報制度には様々なルールがありますので、専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。
また、社内で通報を受け付ける窓口を設置することが難しい場合には、弁護士に通報窓口を依頼することもできます。
なお、顧問弁護士に通報窓口を依頼することもできますが、注意が必要です。
労働者からすると、顧問弁護士は事業者の味方という認識があるため、通報にあたって心理的なハードルが高くなる可能性があります。
第5 まとめ
企業の健全な発展には、自浄作用は不可欠です。
これを機に、体制整備等義務が課されていない事業者の方も、公益通報制度を取り入れてはいかがでしょうか。
執筆者ご紹介
弁護士 森本圭典(もりもと・けいすけ)
弊所は平成元年に開設してから地域に根ざしたリーガルサービスを提供して参りました。生活のなかで生じる様々な問題に取り組み、取り扱った事件の数は多数にのぼります。
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