令和6年6月から、福祉・介護職員等処遇改善加算の報酬が改定されます。これまでの「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」が一本化され、新たな「処遇改善加算(福祉・介護職員等処遇改善加算)」になります。
1 障害福祉サービス事業における処遇改善計画
処遇改善加算は、障害福祉サービス事業所などで働く職員の賃金向上や職場環境の改善などを目的とした加算(国等からの給付費にプラスされる金額)です。
人手不足を改善するために、優秀な人材を確保し、長期間働ける環境を整備するために導入されました。職員の給与の増加や、職場環境の向上による定着率の向上が目的です。
待遇を安定させ、賃金を向上させる目的で設けられた加算制度です。事業所が処遇改善加算を実施するにあたり、特定の要件を満たし、加算率を用いた計算が必須です。
この内容(職員の給与の増加や、職場環境の向上)が盛り込まれた計画書を、年度が切り替わるタイミングで提出し、翌年実績を報告します。
2 処遇改善加算の主な要件
①月額賃金改善要件
加算額を月給(基本給または毎月決まって支払われる手当)や賞与等の改善に充当する。
②キャリアパス要件
職位・職責・職務内容などに応じた任用などの要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備する。根拠規程を書面で整備した上で、全ての福祉・介護職員への周知が必要。
③職場環境等要件
厚生労働省の定める取り組みや見える化を導入する。
例)『入職促進に向けた取組』『両立支援・多様な働き方の推進』『やりがい・働きがいの構成』等
【参考】https://www.mhlw.go.jp/content/001223193.pdf
3 処遇改善のためのキャリアパス
制度の具体的な改正内容は割愛しますが、要件の1つであるキャリアパスの考え方について少し触れたいと思います。
一般的に、福祉・介護事業は離職率が高い業界の1つであると言われています。給与を始めとする待遇面で他業界と比較されてしまいがちです。
しかし、ただただ『仕事キツイ・給料安い』ことだけが原因とも思えません。
『この職場(業界)にずっと居ても、キャリアプラン延いては将来のライフプランが見えてこない』と思われている面もあると考えます。
だから、職位・職責等の経験・任用要件を定め、それに応じた賃金体系を整備する必要があるのです。資格取得についての支援体制等を構築することも有効です。
『この資格を取得すると役職があがる』『あと何年の経験を積めば基本給があがる』などの具体的な指標があれば、『大変な仕事ではあるが、もう少し頑張ってみよう』という希望が生まれます。
もちろん、目指す職務・職責などの目標に対して、必要なスキルや経験・工程を明確化し提示するわけですから、会社として労働者に対し大きな責任が伴いますが、国もここを評価して給付費に加算をするのです。
このキャリアパス制度を、実効性を持たせ、かつ無理なく構築・導入するには、各種労働関係の法令に則った就業規則等の作成や、会社の財務内容を考慮した賃金規程等を作成する必要があります。
私が所属する、神戸商工会議所所属の士業有志で立ち上げた「こうべ企業の窓口」では、社会保険労務士・税理士を始めとする各種複数士業が、真摯にまた多角的に事業者様の経営課題に向き合います。お気軽にご相談ください。
執筆者ご紹介
行政書士 森口伸一(もりぐち・しんいち)
建設業許可申請、経営事項審査申請、入札参加資格審査申請を中心とした各種許認可手続きを数多く手がけて参りました。また、議事録や定款などの法人に関する文書作成でビジネスをお手伝いもしております。最近では、相続に関する手続きサポート(相続人特定、分割協議書作成など)案件も増えています。
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3.法人関係の文書作成(定款・議事録など)
森口行政書士事務所
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