人を動かす「マネジメント」と「リーダーシップ」/中小企業診断士稲垣賢一

皆さんは、日々の仕事の中で「マネジメント」と「リーダーシップ」を意識していますか?

この 2 つは、経営者や役職者だけのものではありません。2 人以上の組織・チームで働くすべての人に必要なリーダーの能力です。本記事では、両者の共通点と違いを整理し、外部環境の変化を踏まえ、人を動かす本質を解説します。

 

 

1.マネジメントとリーダーシップの違い

マネジメントもリーダーシップも、①目的・目標を立てて、②組織をつくって、③実行していく、という能力のことを指す、という点では共通しています。両者の最大の違いとして、マネジメントは「短期」的な視点で組織を「運営」をしていくことで、リーダーシップは「長期」的な視点で組織を「変革」をしていくこと、です。マネジメントとリーダーシップの違いを、以下の表でまとめました。人を動かすためには、マネジメントとリーダーシップの両輪を意識して、日々の仕事に生かしていきましょう。

  マネジメント リーダーシップ
◎ 違   い 人を巻き込んで、組織を運営する能力 変革を推し進めて、人を動かす能力 
① 目的・目標 短期的な計画や予算を立てる 長期的なビジョンを示す
② 組織づくり 役割・体制を設計し、適材適所で人を配置する ビジョンを共有・浸透し、共感を得る
③ 実   行 予算と実績の管理から問題を解決する ビジョンの実現を目指して、主体性と行動を引き出す

2.マネジメントとリーダーシップが必要な理由

企業を取り巻く外部環境の状況と、それに対して不可欠な能力に「◎」、次に必要な能力に「○」を付けて、以下の表にまとめました。

 

    マネジメントが必要 リーダーシップが必要

①20 歳代を中心に、ハラスメント・多様性・SDGs などの価値観が当たり前になっている。  
②少子高齢化により、働く人が減ってくる
③ 転職市場の活況が続いている
④ 物価高により給与・賞与・待遇の改善が求められている
⑤ 20 歳代を中心に、成長実感を求めている ○  ◎ 

上の①の状況に対しては、リーダーのマネジメントが不可欠です。この価値観の変化に対しては、働くすべての人にも意識を高めてもらうための教育も必要です。

②~④の状況に対しては、リーダーのマネジメントにより、長期間働いてもらう環境にするとともに、特に⑤の状況に対しては、リーダーシップにより「やりがい」を創出する必要があります。

 

 

3.山本五十六のマネジメント

山本五十六とは太平洋戦争初期における日本海軍の連合艦隊司令長官として知られる人物です。アメリカ駐在武官、ハーバード大学留学の経験もあり、アメリカとの実力差を熟知し、日米開戦には最後まで慎重姿勢を貫いたとされています。彼は軍人として多くの部下を統率してきた、誠意と慈愛に満ちた人格の持ち主でした。組織・チームの人材を育てる上で、彼の言葉が参考になりますので、画像での解説と一緒に以下にまとめました。

【山本五十六の言葉】

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ

話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず

やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず

※画像は山本五十六の人物像・歴史・言葉から生成 AI(Google Gemini)にて作成
※画像は山本五十六の人物像・歴史・言葉から生成 AI(Google Gemini)にて作成

マネジメントとは、単に部下に指示することではありません。

 

組織・チームのメンバーを育て、リーダーシップを発揮するためには、仕事を理解し、自らやってみせることから始める必要があります。

私はこの山本五十六の言葉がマネジメントの指針になると、企業の経営者やリーダーに伝えています。

 

 

4.リーダーシップに必要なビジョン

従業員の成長実感と待遇改善には、企業の利益を増やす必要があります。利益を増やすには、お客様の問題を解決し続け、満足していただくお客様を増やしたり、1 人ひとりのお客様の満足度を向上させることが重要です。この指針として、企業にはビジョンが必要です。

ビジョンとは、自分の企業が目指す姿(理想の未来像)のことで、以下の表の下線部を埋める言葉が入ることを意識してみてください。ビジョンは、近江商人の「三方よし」の視点が重要です。「三方よし」とは、「買い手(お客様)」「売り手(自社)」「世間(社会)」の三者がそれぞれ幸せになることを目指す考え方です。

ビジョンを実現するためのミッション(使命)とバリュー(価値観)も一緒に考えるとよいです。

以下には、私たち企業の経営を支援する「こうべ企業の窓口」のビジョン・ミッション・バリュー(以下、VMV と表記)を入れました。

こうべ企業の窓口のVMV(ビジョン・ミッション・バリュー)
こうべ企業の窓口のVMV(ビジョン・ミッション・バリュー)

自分たちの VMV に共感してもらい、ともに目指せる人と働くことが大事です。VMV に基づいて組織・部署・個人の目標を設定し、評価し、その結果を給与・賞与・待遇に反映させていきましょう。

経営者・役職者・リーダーの育成や雇用・労務・経営・法務など、気になる点がありましたら、神戸商工会議所所属の士業有志の「こうべ企業の窓口」にお問合せください。複数の士業が連携し、全力でサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

執筆者ご紹介

中小企業診断士 稲垣賢一(いながき・けんいち)

これまで2,000以上の事業計画書を見てきた経験から、商品・サービスのアイデアをお客様起点で具体化しながら、経営をよりよくするための計画づくりとその実行・検証を支援しています。

また、青果卸会社のシステム部門などでのパソコン・ITツールの操作の支援やプロジェクトマネージャーの経験から、ITを活用した業務効率化や販路開拓、経営改善を支援しています。

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