1.誰しも訪れる従業員とのお別れ
春は、出会いと別れの季節。
未来ある新入社員や、即戦力を期待する中途社員を受け入れる会社さんもあれば、定年退職や自己都合退職など、様々な理由で社員を見送ることがあるかもしれません。
人を新たに受け入れるよりも、人とお別れする時の方が、より多くのエネルギーを使います。
その昔、人事の先輩からは「人事マンたる者、プレイボーイたれ。別れ際は、きれいにあとくされなく対応するように」と言われたことが、今でも昨日のように思い出されます。
退職トラブルは、人事実務ではなく経営リスク。
今回は、トラブルを防ぐ従業員の退職対応について、ご説明いたします。
2.退職時にもめる理由とは
会社を去る理由は、人それぞれあることでしょう。
個人的な理由で退職する中で、表向きは「別の職種にチャレンジしたい」と伝えたが、本当の退職理由は言えなかったと答える方が、半数を少し上回りました。
伝えなかった理由としては、話しても理解してもらえないと思った、円満退社したかった、言う必要がないと思ったなど、その裏にある感情が見えてきます(注1)
会社は、退職を制度やルールの1つとしてとらえますが、その当事者にとっては、人生のステージを変える1つとして、様々な感情を抱えているのです。
この双方の受け取り方の違いも、トラブルとなる要因の1つです。
対応次第では、本人は「会社に雑に扱われた」という感情が生まれ、それが徐々に会社とのズレを生み、トラブルへと発展するかもしれません。
注1:「本当の退職理由調査(2024)エン・ジャパン株式会社」参照
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2024/38267.html
3.トラブルを防ぐために
ここでは、双方にとって円満な退職とするために、対応方法を3つお伝えいたします。
1)退職“交渉”から退職“調整”へ
「退職したい」と従業員から、申し出があったら。
それは、ある日突然訪れることもあるかもしれません。
「ここまでせっかく育てたのに」という感情はいったん脇におき、まずは本人に話を聞いてみてください。
相手に感情をぶつけると、相手はそれを感情で返し、その衝突がトラブルになる可能性があります。
説得・引き留め・責任追及は行わず、退職に向けて事実を整理し、条件などの「調整」を行いましょう。
2)条件は「一貫性」と「説明可能性」で決める
退職日、業務の引継ぎ、有給休暇、競業避止義務や秘密保持など、条件を確認していきましょう。
対象者による条件や要望の違いはありますが、会社は「一貫性」と「説明可能性」で決めることが、大切です。
就業規則などの社内規程に、則っていますか。
退職を申し出た日から退職日までの期間設定は、説明した上で、お互いに納得できていますか。
「今回は特別」は、対象者以外でトラブルになる可能性がありますので、避けた方がいいでしょう。
3)退職後までを設計する
退職者は、未来の顧客であり、取引先であり、評判者でもあります。
退職者は、いずれ別の会社へ転職したり、起業したりと、意思決定に関与する立場になります。その場において、比較対象や事例として語られることでしょう。退職時の対応によって、その言葉は変わってきます。
競業避止義務により同業に転職は可能性が低いかもしれませんが、取引先として関係を持つことになった場合、退職時の対応が影響することも、考えられます。
最も影響が大きいのは、評判者です。
退職者は、転職エージェントや SNS、知人・友人などに、会社がどうだったか、退職時がどうだったかを語ることでしょう。
そんな退職者の「評価」が一人歩きして、採用や評判に影響を与えることもあります。
書類の引き渡し、最後の挨拶、連絡の締め方を含めて、「退職対応」なのです。
退職後に発生する雇用保険の手続きなど、退職者に渡すものは、速やかに実施して、書類を発送してください。
最後の接点が、会社の印象を決めると言っても、過言ではありません。
4.まとめ
みなさま、いかがでしたか?
トラブルは、起こってからではなく、いかにそれを起こさないような体制を構築できるか。
法律で決まっているから、就業規則に定めがあるからと言うのは正論ですが、退職者の納得感につなげるためには、正論を諭すだけでなく、コミュニケーションを重ねることも必要です。
誠実に、冷静に、感情を残さず別れることが、企業価値を守ることにもつながります。
「人事マンたる者、プレイボーイたれ」
みなさんの会社では、退職者が発生した時は、どのように対応していらっしゃいますか?お困りのことがありましたら、私たち「こうべ企業の窓口」が、事業者のみなさまが安心して事業運営ができるように、サポートいたします。
お気軽に、ご相談くださいませ。
執筆者ご紹介
社会保険労務士 山本 美香 (オフィスこん)
「共につくり、共にあゆみ、共に成長をあじわう」
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