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税務調査に入られやすい会社と税務調査への基本的な備え/税理士豊見知雄

「うちみたいな小さな会社に税務調査なんて入らないだろう・・・」と思っていませんか?

 

税務調査は大企業や儲かっている会社だけに入るわけではありません。個人事業主や家族で経営している小さな会社にも、ある日突然税務署から電話がかかってくることや、いきなり会社に税務署の職員がやってくることがあります。

でも、「もし来たらどうしよう・・・」と過度に恐れる必要はありません。ただし、基本的な備えをしておかなければ、もともと払うべきだった税金(申告漏れとなっていた税金)以外に、本来払わなくてもよかったペナルティ(加算税や延滞税)を追加で支払うことになります。

 

では、どんな会社に税務調査が入るのか?日頃からどのような点に気を付けておけばいいのか?を解説します。

1.税務署が見ているポイント


税務署はランダムに税務調査の対象先を選んでいるわけではありません。膨大な国税データ(KSK システム)を分析して、申告漏れの可能性が高い会社、つまり税務調査に行けば税金を追加徴収できそうな会社を選んでいます。

具体的には次のような会社は税務調査の対象になりやすいと言えます。

  • 売上や利益が急激に伸びている、あるいは、事業拠点が急激に増えている(社内での処理が追いつかず、ミスや漏れが生じているのでは??)
  •  売上総利益率が年度によって大きく変動している、あるいは、売上が年度によって大きく変動しているのに税引前利益がいつもトントン(利益調整しているのでは??)
  • 赤字がずっと続いていて銀行から借入れもしていないのに資金が回っている(計上していない売上があるのでは??)
  • 売上総利益率が同業他社に比べて低い(架空の原価を計上しているのでは??)
  • 外注費や人件費が同業他社に比べて多い(架空の外注費や人件費を計上しているのでは??)
  • 会社の規模に比べて交際費が多い(個人的な飲食代などを経費計上しているのでは??)
  • 同業他社に比べて交際費が異常に少ない(交際費以外の他の経費に付け替えているのでは??)

このようにいろいろな側面から数字を見て、企業規模や同業他社と比べて大きくズレている場合には、税務調査の対象となりやすいでしょう。

つまり、税金を納めたくないからという思いから、安易に数字を操作してもバレる可能性が高いということです。

2.日頃の備え


税務調査の際に慌てないように、日頃から次のようなことを心掛けておきましょう。

① 事実を歪めない

  • 期ズレ
    今期は利益が出すぎたから 3 月の売上の一部を翌期の4月に回そう、といった操作は「期ズレ」として必ずチェックされます。税務調査では、調査対象の年度末だけでなくその翌期の初めの数カ月も見られます。売上の計上時期やその入金時期が不自然ならすぐにバレます。
  • 過少在庫
    商品の在庫をかかえている会社の場合、数字の上では実際の在庫より少ない在庫を計上しておくことにより利益を減らす(数字上の在庫を減らす→売上に対する原価が増える→売上総利益が減る)ことができます。しかし、例年に比べて在庫が少ないとか、年度末に仕入れた商品が在庫として計上されてないとかで、これもすぐにバレることになります。

 

② 契約書や議事録などの「エビデンス(証拠)」を残す

  • 外注費
    取引先への外注費の支払いについて、保管しているのは領収証1枚だけ、さらにそれが現金払いとなるとその内容が疑われます。特に金額が大きい場合には契約書を作成して、かつ銀行振込みにより支払いの証拠も残しておきましょう。
  • 親族への給料
    配偶者や子供などの身内に給料を支払うこともあるかと思います。ただ、身内への給料はその実体が疑われることがあります。出勤簿や業務日誌に勤務実態を記録しておく、あるいは業務上の成果物(作成した製品や書類など)や取引先とのメールのやり取り等も残っていると実際に勤務している証拠になるでしょう。また、その給料の金額についても適正かどうかチェックされることがあるので、他の従業員や世間相場と比べて大きくズレていないかも注意が必要です。

 

③ 説明できない経費を計上しない

  • 交際費や会議費
    誰と何の目的で使ったのかを明確にしておきましょう。業務に関係していることが説明できれば、通常は問題ありません。レシートや領収証に誰と行ったのかをメモしておきましょう。
  • 福利厚生費
    全従業員を対象とした食事会や慰安旅行などで常識的な金額のものであれば、通常は問題ありません。特定のメンバーだけとか親族だけの場合は、個人的な支出とみられる可能性が高いです。本来の福利厚生の目的を果たしていることを説明できるようにしてください。
  • 車両
    業務に使用している車両は、資産に計上して減価償却することにより数年かけて経費計上していきます。営業車や運搬用トラックは何も問題ありませんが、高級外車などはその使用目的を説明できるようにしておきましょう。業務で使っていない(プライベートのみで使用していたり、社長の個人的な趣味で所有している)となると、当然経費にはできません。また、必要以上の台数を資産として計上している場合にも、その使用目的の説明を求められることがあります。

 

3.最後に


税務調査は、しっかりとした帳簿と証拠書類(エビデンス)さえ揃っていれば、決して怖いものではありません。後ろめたい処理をなくし、「いつ来ても大丈夫!」と思える状況にしておくことが、結果として経営への安心感に繋がります。

「自社の帳簿が不安だな・・・」「過去の処理で気になる点がある」という方は、一度信頼できる税理士にセカンドオピニオンを含めて相談してみることをおすすめします。

執筆者ご紹介


税理士 豊見知雄(とよみ・ともお)

 

経営支援業務(いわゆるMAS業務)に力を入れております。中小企業の社長は日々の業務に追われ、しっかり“経営”に向き合う時間がなかなか取れないことも多々あります。そんな社長にいつも頼られる存在でありたいと思っております。

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