まだ間に合う『会社を高く売る』ための逆算戦略!~「経営者保証」解放計画と財務の磨き上げ~/ファイナンシャル・プランナー船津正明

2025年という節目を迎え、人手不足、原材料費高騰、そして経営者自身の高齢化など、中小企業を取り巻く環境は激変しています。特に、経営者の約 6 割が 60 歳以上と言われる今、多くの経営者様が「事業承継」という難題に直面しています。

一方、事業承継は決して「終わり」ではなく、貴社と貴方自身の未来を豊かにする「戦略的なスタート」に変えることができます。

 

本コラムでは、「貴社の価値を最大化し、経営者個人の未来と安心を確保する」ための「逆算戦略」として解説します。

 

1なぜ今、M&A は「出口戦略」から「成長戦略」に変わったのか


かつての M&A は、業績悪化による「救済合併」や、やむを得ない「廃業回避の最終手段」というイメージが強かったかもしれません。しかし、現在の M&A は様相が大きく変わっています。

(1)深刻化する「後継者不在」と地域経済への影響

2025 年までに、70 歳を超える中小企業経営者が約 245 万人に達し、その半数以上が後継者未定と言われています。このまま手をこまねいていれば、黒字でも廃業せざるを得ない企業が急増し、地域経済において数百万人の雇用と数十兆円の GDP が失われるという試算もあります。これを防ぐため、国策としても M&A を活用した第三者承継の支援が強化されています。

 

(2)買い手側の多様化と「共創型承継」

買い手の層も多様化しています。同業他社による規模拡大はもちろん、異業種からの参入、地域に特化したファンド、そして第二創業を目指す意欲ある若手起業家など、様々な資本が貴社のノウハウや顧客基盤に価値を見出しています。M&A は、単なる引き継ぎではなく、資本や技術、人材を融合させ、新たな価値を創造する「共創型承継」の時代を迎えています。

 

 

2『会社を高く売る』ためのFP的「逆算の磨き上げ」 戦略


M&A で貴社の価値を最大化するためには、相手が見つかってから慌てるのではなく、「〇年後にこの価値で売却(承継)する」というゴールから逆算して、今から準備を進めることが極めて重要です。独立系 FP として、私が特に重要視するのは、「財務の磨き上げ」と「非財務要素の可視化」です。まず買い手が最初に確認するのは、貴社の「健康診断書」である財務諸表です。以下の財務内容の見直しが重要です。

 

(1)貸借対照表(B/S)のスリム化と透明化

事業に直接関係のない不動産、ゴルフ会員権、不要な投資などの「事業外資産」は、M&A評価の障害となり得ます。これらを整理・処分することで、B/S をスリム化し、純資産の価値を明確にします。経営者への高額な貸付金(役員貸付金)や不透明な経費精算は、買い手に不信感を与え企業価値を大きく損ないます。法人と経営者個人の資産・経理の分離を徹底し、透明性を確保します。

 

(2) 損益計算書(P/L)の収益構造改善

赤字部門や収益性の低い事業は、全体評価を下げる要因になります。切り離しや早期の改善計画を立てることが、本業の収益力を際立たせます。経営者やその親族に対する過度な役員報酬や、売却後に発生しないであろう特定の経費を調整し、事業が本来持つ「本当の稼ぐ力」(EBITDA ベース)を正確に評価できるようにします。EBITDA は、「利払前・税引前・減価償却費・償却費控除前利益」を指し、「キャッシュベースでの本来の収益力」を

 

見るための指標です。M&A の評価においては、経営者個人に帰属する経費や、事業承継後に不要となる一時的な費用(減価償却費などの非現金支出)を調整することで、買い手が「この事業は、構造的にどれだけの利益を生み出すポテンシャルがあるか」を判断する上で非常に重要な指標となります。

 

(3)価格以上の価値を生む「強み」の言語化

会社の価値は数字だけではありません。むしろ、買い手が最も求めているのは、数字に表れにくい「無形資産」です。

  • 「組織の構造化と DX の推進」・・・経営者個人の能力に依存しすぎている業務プロセスを、マニュアル化や DX(デジタル化・システム化)によって「誰でもできる仕組み」に変えることで、属人性のリスクを低減し、企業価値を飛躍的に高めます。「IT 人材がいない」と諦めず、安価なクラウドツールや RPAからでも、業務の「見える化」と効率化を始めることが重要です。
  • 「顧客基盤とブランド力」・・・長年の取引実績を持つ安定した顧客ポートフォリオ、地域での高い評判やブランド力、独自の技術・特許、そしてベテラン従業員のスキルと定着率。これらを数値とエピソードで明確に言語化し、将来のキャッシュフローを裏付ける根拠として提示します。

 

 

3 経営者個人の未来を守る「経営者保証」からの解放


 

中小企業経営者の皆様にとって、最も重い心理的・経済的な負担となっているのが「経営者保証」です。M&A は、この個人保証から解放される最大のチャンスです。「中小企業 M&A ガイドライン」の改訂などにより、M&A 市場の透明性は高まり、「経営者保証を解除・見直すこと」が、M&A 実行の際の重要な検討事項として明確に位置づけられています。

 

しかし、保証の解放は自動的ではありません。買い手側が保証を引き継ぐことに納得してもらうためには、先述の「財務の磨き上げ」を通じて、「貴社が法人として自立した返済能力を持つこと」を証明することが不可欠です。

 

【経営者保証からの解放戦略の重要ポイント】

◆ 法人と個人の資産・経理の明確な分離

◆ 継続的な黒字経営と内部留保の蓄積による自己資本の強化

◆ 経営の透明性の確保とガバナンス体制の整備

 

 

これらを M&A 準備と並行して進めることが、経営者個人の老後の安心と、人生のセカンドキャリアの自由を確保するための最重要課題となります。独立系 FP として、「会社」の承継と「経営者個人」の資産・人生設計をワンストップで支援することが、私の使命だと考えております。

 

 

【まとめ】未来への投資は「今」の行動から


 

 

 

事業承継や M&A は、決して他人事ではありません。地域の未来と、貴社で働く従業員・ご家族の生活、そして経営者ご自身の尊厳あるセカンドキャリアのために、今すぐ「逆算戦略」をスタートさせてください。「何から手を付けていいか分からない」「自分の会社の価値は?」といった漠然とした不安を、具体的な行動計画に変えることが、私ども「こうべ企業の窓口」の役割であり最大の強みです。

 

私も所属する神戸商工会議所所属の士業有志で立ち上げた「こうべ企業の窓口」では、財務・法務・労務の専門家も揃っております。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

貴社の価値を最大化し、納得のいく未来を共に築き上げましょう。

執筆者ご紹介

ファイナンシャルプランナー 船津正明(ふなつ・まさあき) 

 

大和証券にて27年の実務経験により資産運用全般が得意分野です。現在は中小企業経営者と従業員向けの確定拠出年金制度の導入サポートに注力中です。圧倒的な低コストで制度導入から従業員向けの投資教育までワンストップで対応致します。その他各種の融資の相談も承ります。 

 

  1.確定拠出年金制度導入サポート

  2.事業融資&住宅ローン相談

  3.資産運用及び保険見直し

 

船津正明FP事務所

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