BCPで災害・感染症などのリスクに備える/中小企業診断士稲垣 賢一

皆さんの会社・事業所・お店で「大地震が発生した時」「大雨で警戒レベル4が出た時」「従業員が新型コロナウイルスに感染した疑いがある時」、どうされますか?これらの判断やその後の行動が遅れると、ご自身や従業員の命が危険にさらされたり、事業の再開が遅れたりする可能性があります。 

1.BCPとは

BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)のことで、事業をなるべく止めない、事業が停止しても早期に再開させるために作成する計画のことです。もう少し簡単にいいますと、BCPとは「いざ」という時の行動と事前の対策を決めるものです。「いざ」というのは、地震や水害、感染症など、事業継続を阻むリスクのことです。

2.BCPの目的

BCPの目的は、下記の2点です。 

●自身と従業員、家族の命を守る。

●なるべく事業を継続させる、もしくは事業が停止してもなるべく早期に再開させる。   

 

BCPの目的は、とてもシンプルですよね。ですが、BCPはいつ起こるか分からないリスクに備えるもののため、作成を後回しにしてしまいがちです。2024年度から介護・障害福祉関係の事業者はBCPの作成が義務づけられています。BCPの作成が義務化されていなくても、経営者自身と従業員の命を守り、取引先や消費者に継続して喜んでもらうために、BCPの作成を進めていただくことをお勧めしています。

3.経営課題とBCP

皆さんの事業で、以下の問題はありませんか? 

(1)販路:得意先や販売ルートが限られている。 

(2)働き方改革:業務が非効率、事業所でしかできない仕事がある。 

(3)業務の標準化:特定の人しかできない業務がある。

(4)事業承継:後継者や右腕となる人材がいない。 

 

これらの問題を解決することは、以下のように災害や感染症などのリスクを軽減することにつながります。

(1)販路:ある販売ルートが機能しなくなっても、他のルートがあれば、売上の減少が軽減できる。

(2)働き方改革:少ない人数でも業務継続や早期復旧ができたり、自宅などでも業務継続ができたりする。

(3)業務の標準化:誰でも業務ができれば、特定の人が事業所に来られなくても、他の従業員で業務継続や早期復旧ができる。

(4)事業承継:経営者に万が一のことが起きても、代替者が決まっていれば、事業所の混乱を最小限に抑えられる。

4.BCPの様式

BCPの様式(フォーマット)は様々ありますが、介護・障害福祉事業者は厚生労働省が用意してくれています。中小企業向けには、経済産業省の認定制度「事業継続力強化計画」があります。 

 

大阪府の「超簡易版BCP『これだけは!』シート」は、A3用紙1枚で完成するもので、事業所内でBCPの意識を簡単に共有することができます。このシートは、自然災害対策版と新型コロナウイルス感染症対策版が用意されています。まずは、この超簡易版BCPの自然災害対策版で災害のリスクに備えてみませんか?

5.BCPの手順

まずは、自治体のハザードマップで、事業所の津波・洪水・高潮・土砂災害などのリスクを確認した上で、例えば震度6弱以上、警戒レベル4(避難指示)でBCPを発動させると決めます。この発動条件時に、従業員への安否確認や緊急時の体制構築をして、事業の継続や早期の復旧に当たります。

 

次に、最も重要な業務を何日以内に復旧させる必要があるか、目標を設定します。あとは、従業員への安否確認や緊急時の体制、発災時の出勤・帰宅・避難方法、事前対策(減災のための浸水対策・備蓄・保険など)、被害状況の確認手順などを決めていきます。  BCPの作成は難しいと思われるかもしれませんが、様式(フォーマット)に沿って検討・記載していきます。

6.訓練

BCPは作成したら終わりではありません。訓練してみて、検証し、BCPを改善していくことで、「いざ」という時でも命を守り、事業を継続するという目的を達成する必要があります。

訓練は、従業員とBCPを共有しながら、以下のことを実施してみてください。 

・安否確認の連絡をしてみる。

・火災訓練と一緒に訓練する。

・もし災害・感染症が発生したらどうするかを話し合う。

 

BCPをはじめ、経営の改善や税務・雇用・労務・法務など、気になる点がありましたら、神戸商工会議所所属の士業有志の「こうべ企業の窓口」にお問合せください。複数の士業が連携し、全力でサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

執筆者ご紹介

中小企業診断士 稲垣賢一(いながき・けんいち)

 

これまで2,000以上の事業計画書を見てきた経験から、商品・サービスのアイデアをお客様起点で具体化しながら、経営をよりよくするための計画づくりとその実行・検証を支援しています。

また、青果卸会社のシステム部門などでのパソコン・ITツールの操作の支援やプロジェクトマネージャーの経験から、ITを活用した業務効率化や販路開拓、経営改善を支援しています。

 

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