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外国人雇用 今後の動向/行政書士河南昭子

令和 4 年 12 月から開催されていた「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の中間報告が 4 月になされました。

ところで現在のところ、外国人労働者が日本国内の企業で、留学等の資格外活動や身分系を除いて、いわゆる単純労働に従事できる在留資格(一般的にいうところの“ビザ”)は、次の二つです。冒頭の有識者会議は、この 二制度の今後の在り方に関する内容です。

技能実習:(1993 年創設、約 32 万人※令和 4 年 12 月末時点)

国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長 5 年間)に限り受け入れ、OJT を通じて技能を移転する制度。

特定技能:(2019 年創設、約 13 万人※令和 4 年 12 月末時点)

国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度

 

上記二つの大きな違いのひとつが、制度目的です。

技能実習は「人材育成」、特定技能は「人材確保」が主な目的となっています。

以下、中間報告の主な論点です。

1.技能実習制度の廃止

技能実習制度の制度目的(人材育成を通じた国際貢献)と、現実の運用実態(人手不足を補う労働力として機能)の乖離を問題視し、新制度の創設を検討する、とのことです。

有識者会議では、「人材確保と人材育成を目的とする新たな制度では、人材育成に由来する転籍制限は残しつつも、制度目的に人材確保を位置付けることから、制度趣旨と外国人の保護の観点から、緩和する」との方向性を示しています。

つまり、これまで「人材育成」を目的とする理由から、転職が原則許されなかった技能実習制度が廃止され、転職が可能な新制度がこれに代わろうとしています。

2.特定技能 2 号分野の拡大

制度発足より労働法規違反や人権侵害で社会問題にもなっている技能実習制度の問題点を踏まえ、創設されたのが特定技能制度です。特定技能には、二種類の在留資格があります。

  1. 「特定技能 1 号」は、12 の特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、通算上限 5 年まで在留できます。技能実習を良好に修了、もしくは試験に合格することが条件です。
  2. 「特定技能 2 号」は、熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、更新すれば在留期間に上限はありません。ただし、建設と造船・船用工業二つの特定産業分野にしか設定されていません。

中間報告では、特定技能 2 号の分野を「介護」を除く 11 分野に拡大する方針が示されました。

つまり、これまでのところ、建設と造船・船用工業以外の分野では、技能実習 5 年+特定技能 1 号 5 年=10 年 が在留期間の上限でしたが、ほぼ全ての分野で特定技能 2 号に変更することで、更新が半永久的に可能になるということになります。

まとめ

具体的には今後の決定を待つことにはなりますが、外国人を雇用する事業主の方々には、新しい方向性や新制度への切り替え、対応が必要になってくると思われます。

 

また、まだ外国人雇用をされていない事業主の方々には、これらの制度の導入を検討する機会になるのではないでしょうか。

 

外国人雇用には、複雑な種類や条件、煩雑な手続きがあります。お困りの事業主様や検討中の事業主様は、ぜひ、ビザの専門家である行政書士にご相談ください。

 

こうべ企業の窓口では、外国人ビザの専門家のみならず、税金や社会保険、その他各分野の専門家が在籍しております。外国人雇用に関するあらゆる角度からのサポートをお約束します。お気軽にご相談ください。

執筆者ご紹介

行政書士 河南昭子(かんなん・あきこ)

IT講師として、日本で学ぶ多くの留学生と交流してまいりました。彼らのパワーを日本の企業で活かすべく、労使双方のために精一杯サポートいたします。

 

ALOHA行政書士事務所

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