国の社会保障「障害年金制度」のしくみ/社会保険労務士西尾隆

社会保険労務士 西尾 隆 (西尾隆社会保険労務士事務所)

病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含 めて受け取ることができる公的年金として障害年金という制度があります。

1.障害年金の種類


障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やケガで初めて医師の診療を 受けたときに自営業や主婦、アルバイトの方で「国民年金」に加入していた場合は「障害基 礎年金」、会社員や法人の代表者などで厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が 請求できます。

 

障害基礎年金は、1級、2級まであります。

障害厚生年金は、1級、2級、3級まであります。

 

なお、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金) を受け取ることができる制度があります。 ちなみに身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の等級と障害年金は まったく別の制度ですので、障害等級はまったくリンクしておりません。 心臓にペースメーカーを装着している人は、身体障害者手帳では1級に該当しますが、 障害年金では3級に該当します。

 

また、障害年金を受け取るには年金の納付状況などの条件が設けられています。

2.障害年金の対象となる傷病


傷害年金を受給できるのは、身体に障害を持っている人を想像することが多いようですが、 実際には、うつ病や統合失調症、発達障害、知的障害といった精神障害等を理由に、障害年 金を受給している人が一番多いのです。 他にも糖尿病が悪化して人工透析を受けるようになった人や、がん、アルツハイマー病、 交通事故による高次脳機能障害、脳血管疾からの後遺症で半身麻痺になった場合など、さま ざまな病気やケガにより、障害年金を受給することができます。

 

ほとんどの傷病が障害年金の対象となります。 しかし、ある特定の病気と診断されれば、障害年金を受けることができると考えている人も 多いようですが、障害年金は傷病名で受給できるかどうか決まるものではありません。 あくまでも、障害の程度が一定の基準以上にあって、日常生活能力の程度によって認定され ます。

 

 

 

例えば、がんと診断されただけでは障害年金を受給することはできません。 がんの手術や抗癌剤治療、放射線療法などの後遺症などが原因で、日常生活や仕事をするに あたって、どのぐらいの支障が出ているかによって受給できるかどうかが判断されます。

 

 

 

このように、社会保障制度としては、非常に心強い制度ですが、請求手続きが非常に難しい 制度でもあります。

 

 

 

また、障害年金については、その制度自体を意外にも知られていなかったりします。 障害年金の請求については社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

 

 

(この内容は、2018年4月時点の情報です)

執筆者ご紹介


社会保険労務士 西尾隆(にしお・たかし)

 

うつ病、がん、人工透析、糖尿病、脳梗塞、心疾患などあらゆる病気が障害年金の対象です。障害年金を活用することで、がんなどの病気で働けない従業員への就労支援対策にもなります。病気による離職で優秀な人財を流出させない職場環境の構築といった就労支援対策を提案いたします。

 

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