会社を経営しておられる方の中には、事業承継等に興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
会社という「ヒト・モノ・カネ」の集合体を後世へ遺すことについての具体的な方法は他士業の先生方にお任せするとして、ここでは経営者個人の遺言について触れてみたいと思います。
遺言と会社の関係
会社と経営者個人は別であり、通常は切り離して考えますが、多くの中小企業において両者は密接に関係していることが多いです(例えば、株主が経営者個人である、社屋等の持ち主が経営者個人である等)。
経営者個人がいなくなった後の財産・権利についての意思を残しておくことは、事業承継等をスムーズに進めることにつながるのではないかと当職は考えます。
遺言書とは
遺言とは、亡くなった人が自身の死後、財産を誰にどのように残すかといった意思表示のことで、その意思を記した法的な効力を持つ書面が遺言書です。
相続手続きを円滑に進めたり、相続人間の争いを防いだりする目的で作成されます。
また、遺言で相手方を指定することで、相続人以外に財産を残すこともできます(これを遺贈と言い、指定された人は受遺者と呼ばれます)。
※口頭で親族等に意思を伝えただけでは、死後の様々な手続きが進めることができません。
※作成には、民法で定められた方式を確認することが重要です。
自筆と公正証書
1 遺言書は、遺言者自身で作成できます。〔自筆証書遺言〕
便箋・封筒やボールペン・認印があれば比較的簡単に作成でき、その費用がほとんどかからないことがメリットです。
自署することや法律で定められた事項を記載すること、押印の箇所や封印の仕方を守れば、一応は有効に作成できます。
ただし、上記の内容はあくまで形式的要件(作成方法が適正かどうか)であり、内容自体が有効かどうかは遺言書の提出先(行政機関や金融機関等)が判断します。
せっかく遺言書を作成しても、誤字や脱字がある、内容が法律に適合しない等の理由で、手続き(不動産の名義変更、預貯金の払い戻し等)が進められないかも知れないリスクがあることがデメリットと言えます。
また、遺言者の死後、家庭裁判所で検認(相続人に遺言書の存在と内容を知らせ、遺言書の偽造・変造を防ぐための手続き)が必要になります。
2 公証役場で、公証人に作成してもらうこともできます。〔公正証書遺言〕
法律を熟知した公証人に遺言書の内容を確認してもらえるので、名義変更や解約ができないといったリスクは大幅に軽減されることがメリットです。
また、原本が公証役場に保管されますので、遺言書の滅失や偽造・変造の心配がなく、自筆証書遺言と違い検認を受ける必要がないこともメリットと言えます。
反面、お金がかかるのがデメリットです。
遺言書に記載する財産の価額によって、公証人に手数料を支払う必要があります。
参考:日本公証人連合会(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow02/2-q13)
また、文案作成のために様々な資料を提示して公証人と打ち合わせをする必要があり手間と時間がかかります。
これもデメリットといえるかも知れません。
遺言執行者の指定
『遺言執行者を指定する』旨を遺言書に記載することをお勧めします(重要!)。
☆遺言執行者を指定していないと…
遺言書を作成していても、通常は相続人全員で協力して手続きを進める必要があります(金融機関によっては、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になる場合がある等)。
そのため、相続人の関係が良くない場合(不仲や音信不通が原因で書類が揃わない等)、遺言の内容が実現されないリスクが残ります。
☆遺言執行者が指定していると…
遺言執行者は『遺言書の内容を実現するため、遺言の執行に必要な一切の行為を行う権限を有する』ので、単独で名義変更等の手続きを進めることができます。
そのため、相続人同士の仲が悪くても、連絡がつかない相続人がいたとしても、 遺言の内容が実現されます。
※遺言執行者になれる者:未成年者・破産者以外であれば誰でもOK、相続人や受遺者も指定できます。弁護士や司法書士等の専門家が指定されることも多いです。
その他のポイント
①『遺言書を作成したこと及びその保管場所』を、親族等に伝えておきましょう。
②自筆の場合、『自筆証書遺言書保管制度』を活用しましょう。
参考:法務省(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html)
遺言書はその書き方によって、内容が実現できるかどうかに影響が出ることがあります。
また、会社経営者の中には相続財産の価額が大きく、相続税や『相続が争続になるリスク』を心配される方も多いのではないでしょうか。
我々こうべ企業の窓口は、多士業による法務・税務等の多角的な視点で、会社経営者様の遺言書の作成をサポートします。
お気軽にお問い合わせください。
執筆者ご紹介
行政書士 森口伸一(もりぐち・しんいち)
建設業許可申請、経営事項審査申請、入札参加資格審査申請を中心とした各種許認可手続きを数多く手がけて参りました。また、議事録や定款などの法人に関する文書作成でビジネスをお手伝いもしております。最近では、相続に関する手続きサポート(相続人特定、分割協議書作成など)案件も増えています。
1.建設業許可を中心とした許認可手続き
2.相続関係の書類作成 手続きサポート
3.法人関係の文書作成(定款・議事録など)
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