· 

脱ハンコ文化~契約の電子化~/弁護士高島浩

弁護士 高島 浩 (弁護士法人神戸シティ法律事務所)

1 緊急事態宣言が終結し、オフィス街にも人が戻ってきましたが、「出社しなくても仕事

 はできる」ことが分かり、引き続きテレワークを続ける方も多いと思います。

  もはや会議が PC やタブレットを利用して行われることも珍しくなく、数年かけて進む

 と思われていた仕事のIT化がこの2カ月間で一気に進んだ印象を受けます。

 

2 新型コロナ禍により多くの企業が事業の縮小を余儀なくされています。しかし、このよ

 うな時期だからこそ IT 化を進め、生産性を向上させていく必要があります。

  本稿では、契約書の電子化についてご紹介します。

 

3 皆様の会社では、取引先と契約書を取り交わすとき、どのような作業を行っているでし

 ょうか。

  通常は、契約書の内容が確定した後、①契約書を2部プリントアウトし、②製本テープ

 で製本し、③金庫から印鑑を取り出してきて押印し(もちろん印鑑は金庫に戻す)、④契

 約書の内容によっては印紙を貼付し、⑤相手方の住所と氏名を記載した書類送付書を作

 成し、宛名を記載して(又は宛名ラベルを貼って)郵送し、⑥取引先方が捺印して返送し

 てくるのを待ち、⑦返送された契約書を保管しておき、⑧印紙や切手代は経理担当者が記

 帳する、という作業を繰り返しているのではないでしょうか。

  電子契約書を導入し、これまでのような紙ベースの契約書を作成する作業が不要とな

 れば、会社に出勤しなくても取引先と契約書を取り交わすことができるようになり、担当

 者の負担は軽減されることとなります。

 

4 電子契約書を導入する際のハードルは、主に「社内の体制整備」と「取引先の理解」の

 二つです。前者については、紙の契約書を前提としたフローを変更する必要があります。

 これまで印鑑を管理していた人が ID とパスワードの管理者として適任とは限りませんし、

 契約書データの保管方法や検索方法も検討しておく必要があります。

  後者については、取引先にも同じ電子契約書サービスを導入いただく必要があります。

  このように、導入時に検討すべき事項は少なくありませんが、締結すべき契約書類が多

 い企業にとってはメリットも大きいのではないかと思います。

 

5 電子契約書には、双方当事者が電子署名するものと、立会人(サービス提供者)が電子

 署名するだけで双方当事者は電子署名を行わないものが存在します。後者のほうが簡便

 ですが、その分、契約書の有効性が争われた場合の証明力が劣る可能性もあり、今後登場

 すると思われる裁判例などを分析していく必要があります。

  ただ、立会人型の契約書であっても、契約の成立を推認する一定の証明力は存在してい

 ます。相手方から「そのような契約など締結した覚えはない」などと主張されるリスクが

 ない取引であれば、業務の IT 化を進める中では検討に値する選択肢だと思います。

執筆者ご紹介


弁護士 高島浩(たかしま・ひろし) 

 

事業の再生手続(私的整理、民事再生)や法人の清算手続(特別清算、破産)を数多く手がけています。また、企業間における商取引やM&Aを巡る契約交渉、債権回収、労働関係紛争、海外進出(中国、東南アジア)に関するご相談も承っております。

 

  1.事業再生

  2.労働審判・訴訟

  3.商取引(契約書、債権回収)

 

 

弁護士法人神戸シティ法律事務所

〒650-0033 神戸市中央区江戸町98番の1 東町・江戸町ビル5階

TEL 078-393-1350

http://www.kobecity-lawoffice.com 


皆様へお願い


このコラムをご覧になって、専門家にお電話いただく際には、「『My法務コラム』を見て電話した」とおっしゃっていただけると、スムーズです。

宜しくお願いいたします。