外国人労働者のための脱退一時金制度について/社会保険労務士西尾隆

社会保険労務士  西尾 隆 (西尾隆社会保険労務士事務所)

日本で働く日本国籍を有しない外国人労働者の方が、国民年金、厚生年金保険又は共済組合の被保険者期間を喪失し、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から、2年以内に脱退一時金を請求することができます。
 
脱退一時金は、短期在留の外国人労働者が日本の企業で働いていたり、日本国内に居住していた際に納めた、国民年金、厚生年金保険又は共済組合の保険料が掛け捨てにならないための制度です。
 
 
(脱退一時金を請求できる条件) 
① 日本国籍を有していない方

② 被保険者期間が6か月以上ある方

  詳しくは、
  国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間の月数と保険料4分の1免除
  期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に
  相当する月数、及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数を
  合算した月数、又は厚生年金保険、共済組合の被保険者期間が6か月以上ある方。
 
③ 日本に住所を有していない方

④ 年金を受ける権利を有したことのない方
 
(脱退一時金の額)
【国民年金】 平成 30 年 4 月から平成 31 年 3 月の間に保険料納付済期間を有する場合
              *一例です。保険料納付済期間の年度により受給金額は異なります。


 

【厚生年金保険・共済組合】
  被保険者であった期間の平均標準報酬額 × 支給率(6~36)
 
 
(脱退一時金を請求する場合の注意点)
・平成 29 年 3 月以降、転出届を市区町村に提出すれば、住民票転出(予定)日以降に、
 日本国内での請求が可能となりました。
 この場合は、請求書に添付する書類として、日本国外に転出予定である旨が記載された
 住民票の写し、住民票の除票等、市区町村に転出届を提出したことが確認できる書類が
 必要となります。
 
・脱退一時金を受け取った場合、脱退一時金の計算の基礎となった期間は年金加入期間に
 算入されません。
 
・平成 29 年 8 月以降、老齢年金の受給資格期間が 10 年に短縮されましたので、受給資格
 期間が 10 年以上ある方(老齢年金を受ける権利がある方)は、脱退一時金を受け取るこ
 とができません。将来、日本の老齢年金として受け取ることができます。
 
・国民年金の脱退一時金は所得税が源泉徴収されませんが、厚生年金保険又は共済組合の 
 脱退一時金には、20.42%の所得税が源泉徴収されます。
 
 
日本で働く外国人労働者が帰国する場合、公的年金の脱退一時金制度を知らないケースが
意外と多くありますので、専門家に相談することをお勧めします。

 

執筆者ご紹介


社会保険労務士 西尾隆(にしお・たかし)

 

うつ病、がん、人工透析、糖尿病、脳梗塞、心疾患などあらゆる病気が障害年金の対象です。障害年金を活用することで、がんなどの病気で働けない従業員への就労支援対策にもなります。病気による離職で優秀な人財を流出させない職場環境の構築といった就労支援対策を提案いたします。

 

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  3. 年金相談

 

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