社会保険労務士 小河 みさき (オフィスMirai)
働き方改革法案が成立し、改正法が施行されてからもうすぐ1年になります。
大企業、中小企業かかわらず「働き方改革」への対応に右往左往している現状が見られます。
この改革の大きな要因には、日本の人口の減少、少子化そして総人口に占める満65歳以上の高齢者率の増加があります。手を打たなければ、働いて経済社会を支える労働人口が減り続けるのです。
そのため、国は女性や高齢者、障害者、外国人等の就業率を上げて、何とか支え手を増やそうとしています。法改正や新しい仕組みの導入や助成金・補助金の拡充など、様々なことが実施されています。
このような大きな変化の中で、はたして働く人の意識は変わっているのでしょうか。
企業を取り巻く環境の変化は増すばかりですが、まだまだ労働に長い時間を割くことが良しとされる傾向は依然として強いようです。必要な人手を確保できないというのが、その主な理由のようですが、今後もそうやって働き続ければ、いずれ従業員が心身の健康を損ない、企業は生産力や競争力の低下という大きな代償を払うことは目に見えています。
長時間労働しなくても、同様の成果を上げることに注力する、そのために一人ひとりの成長を促し、その能力を最大限に活かす。また、様々な事情で就業に制限を受ける人に対して、柔軟な勤務体制づくりと公正な評価をすることが求められています。
「多様性」が叫ばれている昨今ですが、一人ひとりの価値観や抱えている事情が異なることからくる多様性を認めれば認めるほど、組織では仕事や物事を共同してやっていくということが難しくなります。
企業や職場において、個人の多様性を尊重しながらも、混乱を招かないで成果を上げ続けるには、お互いの違いを理解し活かし合いながら、「わたしもあなたもOK」という人間関係をつくるほかありません。
当たり前のことのようですが、日々目の前にある忙しさに追われて、この「多様性」への対応が後回しになっているように感じています。
少し前から、いわゆる組織開発(チームビルディング)が注目されつつありますが、これからの中小企業も、そのような手法等を導入して多様性を武器に変えていかなければならないでしょう。
働き方改革といえば、勤務時間の短縮・年次有給休暇の取得の義務づけの話になりがちです。勤務時間の短縮・年次有給休暇の取得は、先ほどの多様性の壁を乗り越えて、新しい働き方でもって社会を支えること、そのために、自分とは異なる他人をより理解しようというスタンスで互いが歩み寄り、共同して変化に対応するための工夫をし続けるというプロセスの中で生み出される成果であり、決してゴールではありません。
人生100年時代をむかえ
まさに、変化の激しい時代にあって、いかに働き、いかに生きていくか、
現在の年齢に関係なく、働く人誰もがまず“自分のこれからの人生をデザインする”ことが、本当の意味での働き方改革ではないでしょうか。
執筆者ご紹介
社会保険労務士 小河みさき(おがわ・みさき)
企業の切実な悩みである「人材育成問題」の解決のために、コミュニケーションの促進やモチベーションアップの施策など組織風土改革の支援、ブラック企業と呼ばれないための社内規則の整備、産業カウンセラーとしてメンタルヘルスへの取組みをサポートします。
- 労務管理コンサル(組織開発支援)
- メンタルヘルス対策
- 社内規定作成
オフィスMirai
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