我が国の商慣習上、事業者間においては、現金即時払いでの取引は珍しく、掛け売り(後払い)での取引が行われることが通例です。内部留保が潤沢でない小規模事業者においては、取引先から回収した資金をそのまま別の取引先の支払原資にすることを予定していることも多く、予定通りに債権回収ができなければ、自社の支払が困難になることもあります。
企業経営に際しては、債権回収を確実に行うことは、自社を守ることに直結します。そこで、今回は債権回収に関して心がけて頂きたいことをお伝えしたいと思います。
そもそも、通常通りに支払が行われずに、債権回収のために法的措置を執るなど特別な努力をしなければならなくなってしまった時点で、後手に回っており、債権回収は困難な状態になっている場合が多くあります。
そのような事態に陥らないように、日常的に準備、対策をしておくことが重要です。取引を開始するに際しては、次のような準備を行うことをご検討ください。
当初は問題がなさそうであった取引先であっても、事業環境が変動することなどにより、経営が苦しくなり、支払が滞ることもよくあります。そのような取引先の状況変化を見逃さないようにしましょう。
以下のような要注意サインを見逃さないように、取引先の代表者や従業員と人間関係を構築し、情報収集をしておくことも重要です。
※ もちろんこれらの事項は必ずしも取引先の経営悪化を示すものとは限りません。
通常時には応じてもらいにくい取引条件であっても、取引継続を条件として、変更に応じてもらえる可能性もありますので、以下のような変更を求めることもご検討ください。
任意の支払が見込めない場合、訴訟等の法的措置を執ることを検討せざるを得ません。相手方の状況を踏まえて、仮差押、訴訟などの手続を選択することとなりますので、早期に弁護士に相談することをお勧めします。
早期着手が、回収可能性を高めることにつながります。
ただし、訴訟を提起して、勝訴判決を得たとしても、相手方に支払余力がない場合、回収が出来ない可能性もあります。そうならないためにも、やはり1,2で述べたような日常の対応が重要となります。1,2の段階から弁護士に相談しつつ対応を行えば、より債権回収に成功する可能性は高まります。そのために日常的に気軽に相談できる顧問弁護士を持っておくことも一つの選択肢となるかと思われます。
私も所属する神戸商工会議所所属の士業有志で立ち上げた「こうべ企業の窓口」では、複数士業が事業者の皆様をサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
(2022年9月時点の情報です)
弁護士 中島健治(なかじま・けんじ)
中小企業や個人事業主が抱える日常的な法律問題処理(債権回収、契約書作成等)を多く手掛けています。従業員との間のトラブル(労働事件)も多く取り扱っています。社長や従業員の方個人に関する事件(交通事故、相続、離婚等)も対応可能です。
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2.企業法務
3.労働事件(使用者側)
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