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コロナ禍における取締役会運営

司法書士 佐藤大輔 (あなまち司法書士事務所)

緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ油断できません。 

リモートで取締役会を開催する仕組みをご紹介します。

 

1.取締役会の書面決議、書面報告~株主総会の書面決議との比較

 

株主総会の

書面決議=みなし決議

(会社法319、320)

取締役会の

書面決議=みなし決議

(会社法370)

取締役会への

書面報告=報告省略

(会社法372)

内容

株主が物理的に集まって

株主総会を開催しない。

取締役が物理的に集まって

取締役会を開催しない。

取締役が物理的に集まっ

て取締役会を開催しない。

採否

全株式会社で採用可能。

議案・報告事項について

全株主が同意した場合に

は、株主総会開催を省略

可能。

書面決議で良い旨の同意

ではない。

議決権を行使出来る全株

主の同意が必要なので、

株主数が極少ない会社向

け。

 

 

 

 

 

 

下記要件を全て充足したとき

のみ決議があったと、みなさ

れる。

⑴定款【1】で定めた会社において

⑵議案に取締役全員が書面

やメールで賛成した(書面決

議で良い旨の同意ではない。)。

⑶業務監査権限ある監査役

がいる場合、その監査役が異

議を述べなかった。 

 

  

 

 

 

 

   

下記要件を充たしたときは、

報告したとみなされる。

⑴取締役会に報告すべき

事項を持っている取締役・

会計参与・監査役・会計監査人が

⑵取締役と監査役の全員に対して

⑶報告事項を通知したとき。

定款記載不要。

全取締役の同意不要。

監査役の異議の有無は関係なし。

書面決議より要件が緩い

 

 

 

 

【1】定款に次のような条文が入っていれば書面決議を採用可能です(取締役会書面決

議を認める定款文言例)。

 

1. 取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当

  該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができる者に限る。)の

  全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決

  する旨の取締役会の決議があったものとみなす。ただし、監査役が異議を述べたと

  きは、この限りでない。

2. 取締役又は監査役が、取締役及び監査役の全員に対して、取締役会に報告すべき

  事項(ただし、会社法第363 条第2項の規定により報告すべき事項【2】を除く。)を

  通知したときは、当該事項を取締役会へ報告することを要しない。

 

【2】会社法363Ⅱの3か月に1回の業務報告は省略できない(会372Ⅱ)ことを定款

でも再確認しています。

 

2.取締役会の書面決議、書面報告~株主総会の書面決議との比較

⑴ 代表取締役から全取締役及び監査役へ招集通知

代表取締役は、まず定款に書面決議を認める規定があるか確認します。

当該規定が確認できたときには、次のような内容を送付します。

通常は電話・メール・チャットワークなどで招集しますが、書面決議をする場合には

電話ではなく、書面又はメールなどで送信します。

監査役にも通知する必要があります(会368)が、会計監査限定監査役には通知する必

要はありません(会389Ⅶ)。

 

【メール送信の例】

あなまちサムライサポート株式会社

取締役・監査役 各位

               取締役会 提案書

今般、新社屋完成に伴い本店移転をすべきところ、この件については既に十分議論を

尽くしてきましたので、取締役会の開催を省略したいと考えております。

私が提案する取締役会の目的である事項については、下記「決議を省略する決議事

項」欄記載のとおりです。

取締役各位におかれましては、私の提出した下記議案に同意いただけます場合には、

別紙同意書に必要事項をご記入のうえ、私宛ご返信(ご返信期限:令和年月日)をお

願いいたします。

監査役各位におかれましては、ご異議の有無を私宛ご返信(ご返信期限:令和年月

日)をお願いいたします。

 

なお、提案について取締役各位全員の同意が得られ、なおかつ監査役各位から異議が

なされなかった場合には、当社定款第〇条及び会社法第370 条の規定に基づき、取締

役会の決議があったものとみなされ、取締役会を開催することはいたしません。

                      

                    記

【決議を省略する決議事項】

議案 本店移転の件

当社の本店を平成31年4月29日をもって下記住所に移転する。

神戸市灘区鹿ノ下以上通二丁目〇番〇号

                                   以上

神戸市灘区鹿ノ下通二丁目4番15号

あなまちサムライサポート株式会社

代表取締役 佐藤大輔

あなまちサムライサポート株式会社

代表取締役 佐藤大輔 様

                                 取締役お名前

                   

                    同意書

 

私は、下記議案について本書により同意する。

 

                     記

 

※ 上記提案書の【記】以下と同様に表示する。

【書面送付の場合】「発送日」欄と「同意日」欄を追加してください

  ⇩

 ⑵ 全取締役から同意書が返信(返送)される。

最後の取締役からの同意書を会社が受け取った日が、取締役会決議の日となります。

  ⇩

 ⑶ 取締役会議事録を作成

記載事項については、会社法施行規則101Ⅳ

  ⇩

 ⑷ (必要に応じて)登記申請

開催したとみなされた取締役会議事録を添付して登記申請するときには、定款の添付

も必要です(会370)。

  ⇩

 ⑸ 取締役会議事録・全取締役からの同意書を保管

取締役会議事録原本を会社本店において10年間(会371Ⅰ)

全取締役の同意書原本、監査役の異議なし通知を会社本店において10年間(法の定

めは見当たりませんが、特に取締役会議事録に代表取締役しか押印しない会社では必

要です。)保管する。

 

3.書面による議決権行使・委任状による出席は認められるか?

株主総会では認められている「書面による議決権行使」「委任状を他の取締役や弁護

士に預けての議決権行使」は、取締役会では認められないとするのが通説です。

その理由は、次の通りです。

 

1. 株主総会で経営能力を信頼された上で選任されたのは取締役その人だから

2. 集合して協議・意見交換を行なった上で意思決定を行なうことが大切だから

3. 取締役会の議題は予め通知された事項に限られないから

 

4.テレビ会議・電話会議などによる参加は認められるか?

⑴ 条件をみたしたシステムであれば有効

遠隔地にいる取締役が電話会議方式によって取締役会に適法に出席したといえるため

には、少なくとも、遠隔地取締役を含む各取締役の発言が即時に他の全ての取締役に

伝わるような即時性と双方向性の確保された電話会議システムを用いることによっ

て、遠隔地取締役を含む各取締役が一同に会するのと同等に自由に協議ないし意見交

換できる状態になっていることを要する(福岡地裁平成23年8月9日判決)

☓ 固定電話がスピーカーフォンではない。

☓ 遠隔地の取締役は、本件会議室でなされていた議論をほとんど聞き取れていなか

 っただけでなく,第3号及び第4号議案については両議案が上程されていたこと

 すら認識できていなかった

⑵ 取締役会議事録記載例(H14.12.18民商3044民事局商事課長回答)

                取締役会議事録

 

平成14年12月2日午前9時30分から、当社本店会議室及び当社大阪支店会議室に

おいて、電話回線及び電話会議用装置からなる電話会議システムを用いて、取締役

会を開催した。

開催場所       東京都○○区○○1-1-1当社本店会議室

               大阪大阪府大阪市○○区○○2-2-2当社大阪支店会議室

        

出席取締役及ぴ監査役 当社本店会議室 取締役A、B及び監査役D

           当社大阪支店会議室 取締役C

 

上記のとおり、本店会議室及び大阪支店会議室における全取締役及び監査役の出席が

確認され、代表取締役Aが議長となって、本取締役会は電話会議システムを用いて

開催する旨宣言した。

電話会議システムにより、出席者の音声が即時に他の出席者に伝わり、出席者が一

堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態となっていることが

確認されて、議案の審議に入った。

 

                 (会議内容省略)

 

本日の電話会議システムを用いた取締役会は、終始異状なく議題の審議を終了した

ので、議長は午前11時10分閉会を宣言した。

この議事の経過の要領及ぴ結果を明確にするため、本議事録を作成し、出席取締役及

び監査役はこれに記名捺印する。

★コロナ対策についてはこちらをご参照ください。

あなまち コロナ対策   検索  又は https://is.gd/XiTb5x

皆様がこの非常事態を乗り越えていく一助になれば幸いです。


執筆者ご紹介

司法書士 佐藤大輔(さとう・だいすけ)

一般的司法書士業務+事業承継・信託・従業員持株会・フランチャイズシステム・M&A等のプラン設計・実行。社長・従業員の法律相談。140万円以下の民事訴訟・示談代行。少額裁判助成制度(兵庫県司法書士会)の利用実績は当事務所が第1位。

  1. 会社法関係のややこしい手続
  2. 登記など普通の司法書士の仕事
  3. 黄金の士業人脈

あなたのまちの司法書士事務所グループ所属

あなまち司法書士事務所

〒657-0044 神戸市灘区鹿ノ下通二丁目4番15号(国道2号線「ナダシン」正面)TEL 078-805-1965

https://www.anamachigroup.com/


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