お酒の免許と輸出入販売について


行政書士 吉村貴志(吉村行政書士事務所)

許認可手続きの仕事をしていますが、ここ数年、個人、法人を問わず、お気に入りの原 産国のワインを輸入販売したい、または、日本のお酒を海外へ輸出したいというお話をよ くいただくようになりました。

特に中国においては、日本産のお酒は、価値が高いものとして扱われ、事実、日本のオ ークションサイト等でも、結構な高値で落札されている現状があるようです。

このような背景から、お酒の免許の取得や、お酒の輸出入における留意点をかいつまん で取り上げてみます。

 

1.お酒の販売免許についての基礎知識

そもそも、飲食店、レストラン等でお酒を提供するだけであれば、酒類販売免許は不要 です。(飲食店営業許可等を取得する必要はあります。)要は、開栓し他の容器等で提供す る場合は不要ですが、瓶や缶のまま販売するには酒類販売業免許が必要となるわけです。

 

お酒の販売免許の種類については、大きく分けて「卸業免許」と「小売業免許」があり ます。

卸売業免許は、小売業の免許をもった酒屋等に販売(卸売り)するための免許です。そのため個人の方や飲食店等、一般消費者に販売することはできません。

これに対し、小売業免許は、一般消費者に販売するための免許で、主に一般酒類小売業 免許と通信販売小売業免許があります。

一般酒類小売業免許は町の酒屋さんやコンビニなど店舗を構え、直接購入に来た消費者 へ販売するための免許。

通信販売小売業免許は、2都道府県以上の広域な消費者を対象とし、インターネットや カタログ送付等により、様々な通信手段により注文を受け販売するための免許。

 

2.お酒の免許取得について

お酒の販売免許を取得するためには、店舗(販売所、事務所)を管轄する税務署へ申請 することになります。 ただし、申請すれば必ず免許がもらえるものでもなく、以下の4つの要件を満たす必要 があります。 ⑴人的要件

申請人(法人にあっては、その役員)が未成年者、成年被後見人等及び破産者で 復権を得ない者、犯歴がありその処分の日から3年経過していない者などに該当し ていないこと。

⑵場所的要件

販売場が、お酒の製造場や酒場、料理店等と同一の場所でないこと 販売場における営業が、他の営業主体と明確に区分されていること

⑶経営基礎要件

直近の確定した決算書において、債務超過になっていないこと。

直近3年すべての事業年度で、資本等の20%超の欠損が生じていないこと。

酒類の販売業を継続して行うに足る資金や設備を所有していることなど

⑷需給調整要件

酒税の保全上、需給の均衡を維持する必要からの規制として、

①特定の構成員 のみの販売でないこと

②飲食店等酒類を取り扱う業者でないこと

 

上記4つの要件を、申請書に加え、事業計画書や財務諸表及び各種証明書を添付して販 売場を管轄する税務署へ提出します。審査の上、特に問題がなければおよそ2ヶ月で免許が付与されます。

 

3.お酒の輸出入(税関等)の手続について

お酒を輸入する場合は、保税地域から引き取る時までに、輸入する酒類の容器の見やす い箇所に、氏名又は名称及び住所、免許を受けている酒類販売場の所在地、容器の容量、 酒類の品目に応じ法令で定められている事項を、その保税地域を管轄する税関に届出る義 務があります。(届出時に、酒類販売免許の写しも同時に提出します。)

お酒の輸出についても、輸出する国ごとに規制等があり、例えば中国へお酒を輸出する に場合、主に「食品安全法」、「中華人民共和国貨物輸出入管理条例」、「中華人民共和国輸 出入食品ラベル管理弁法」などがあります。

 

業容拡大のため、お酒の輸出入を検討されるケースにおいては、マーケットのリサーチ とともに、当該規制を考慮の上、綿密に計画していく必要があると思われます。


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