神戸市(兵庫県)の地価動向~コロナ前への回復傾向が顕著に~/不動産鑑定士三宅純也

令和 5 年地価公示(令和 5 年 1 月 1 日時点価格)が発表されました。

全国的な傾向としては、「新型コロナの影響で弱含んでいた地価は、ウィズコロナの下で、

景気が緩やかに持ち直している中、地域や用途などにより差があるものの、都市部を中心に

上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるなど、コロナ前への回復傾向

が顕著となった。」

地価公示結果は、7 月に発表される国税庁の相続税路線価とも密接に関連しています。

今後の相続や事業承継の対策を検討していく上でも、重要な指標といえるでしょう。

それでは、神戸市(兵庫県)の地価動向について見ていきましょう。

地価公示(公示地価)とは?

地価公示制度に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が都市計画区域内及び都市計画区域外で標準的な地点(標準地)について、毎年定期的(1 月 1 日現在)に正常な価格を判定し公示するものです。

地価公示法(昭和 44 年法律第 49 号)に基づき、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資すること等を目的とし、国土交通省土地鑑定委員会が毎年 1 回標準地の正常な価格を判定します。

 

1.兵庫県の概要

まずは神戸市を含む兵庫県全体の地価動向を見てみましょう。

令和 5 年地価公示・兵庫県の地価動向によると、「神戸・阪神間を中心とした都市部の上昇傾向が、東播磨、弱いながらも北播磨、中播磨地域へ波及するなど、コロナ前への回復傾向が顕著となった。」

<住宅地>

  • 「神戸・阪神・東播磨地域での利便性に優れた地域では、住宅需要は堅調であり、これまでの低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、地価上昇が継続している。」
  • 「生活スタイルの変化による住宅需要は継続、さらに景気が持ち直していることなどの影響により、値頃感のある周辺部へも住宅需要が広がっている。」
  • 「上昇している都市部(神戸・阪神地域)と下落傾向の地方部(西播磨・但馬地域)との二極化が進んでいる」。

<商業地>

  • 「都市部を中心に、店舗需要は回復傾向にあり、また、堅調なマンション用地需要等から地価の回復傾向がより進んでいる。
  • 国内来訪客が戻りつつある観光地(城崎など)や、人流が回復しつつある繁華街(中央区など)では、店舗等の需要があり、地価は回復傾向にある。」

<工業地>

  • 「eコマース市場の拡大を背景に、高速道路ICや幹線道路等へのアクセスが良好で、敷地規模の大きな物流施設適地では、地価上昇が拡大している。その中においても背後地人口を多く抱える尼崎臨海地域は近畿圏において上昇率が最上位となっている。」

2.神戸市の概要

このような状況の中で、神戸市の地価が上昇した区(地区別)は以下のとおりです。

住宅地:長田区(▲0.4%)を除く全ての区

商業地:全ての区

工業地:全ての区

<住宅地>

灘区が、兵庫県内の住宅地の地価上昇率上位 5 地点全てを占めています。

住宅地上昇率 1 位の「灘区烏帽子町2丁目」は、1 年間で+6.3%の地価上昇です。

JR 六甲道駅徒歩圏にありながら、比較的価格水準が低いこと等が地価上昇の要因となっています。

なお、兵庫県内の住宅地の価格上位 5 地点のうち 4 地点が神戸市内(東灘区と中央区)で

す。

<商業地>

中央区が、兵庫県内の商業地の価格上位 5 地点のうち 4 地点を占めています。

商業地の地価最高地点は、中央区三宮町 1 丁目(三宮センター街)です。

価格は、625 万円/㎡(前年 612 万円/㎡比+2.1%)となっています。

県下随一の繁華街としての希少性等が地価上昇の要因となっています。

また、商業地の地価上昇率上位 5 位のうち、2 地点が神戸市内(灘区と須磨区)です。

商業地上昇率 3 位の「灘区徳井町4丁目」は、1 年間で+5.8%の地価上昇です。

なお、商業地上昇率 1 位は「芦屋市業平町(JR 芦屋駅南側)」で+7.0%。

再開発への期待と、高い希少性等が地価上昇の要因となっています。

<工業地>

工業地の地価最高地点は、神戸市の「灘区大石南町 3 丁目」です。

価格は、17 万円/㎡(前年 16.4 万円/㎡比+3.7%)となっています。

最終消費地やICとの接近性が優れること等が地価上昇の要因となっています。

なお、工業地は、兵庫県内の地価上昇率上位 5 地点全てが尼崎市です。

工業地上昇率 1 位の「尼崎市西向島町」は、1 年間で+17.4%の地価上昇です。

敷地規模が大きく、良好な物流施設適地であること等が地価上昇の要因となっています。

土地総合情報システム

https://www.land.mlit.go.jp/webland/

不動産取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索できる国土交通省のサイトです。

 

 

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執筆者ご紹介


不動産鑑定士 三宅純也(みやけ・じゅんや)

税理士さん・公認会計士さん・弁護士さんなど、士業専門の不動産鑑定士です。その価格はどのように決まっていますか?適性に評価されていない価格のままでは、税金、会社決算・株価、裁判等に大きな影響があります。「依頼者よし、紹介者よし、鑑定士よし、世間よし」の“四方よし”がモットーです。

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