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中小企業こそ知的財産権の活用を!/弁理士羽柴拓司

弁理士 羽柴拓司 (海岸通特許事務所)

1.知的財産権対策の必要性

日本の特許出願件数の内訳をみてみますと、全企業数の99.7%以上を占める中小企業の特許出願件数は、全体の13%にしか及ばず、残りの87%を大企業が占めているというのが現状です。(平成27年 特許庁調べ)

 

これは、「権利取得や維持にかかるコストが高い」、「知的財産権の必要性を感じていない」、「知的財産権に関連する社内整備がなされていない」等が要因の一つとなっているのではないでしょうか。

 

しかしながら、企業活動を行う上では、「知的財産権」を活用することで、多くのメリットを得ることができます。一方、他社や他人が保有する「知的財産権」に留意しなかった結果、思わぬ損害を生じた事例もあります。

 

このようなことから、「中小企業における知的財産権の活用」は、「より安定的で積極的な事業展開を行うための重要な手段の一つである」と言えます。

 

2.知的財産権を活用することの主なメリット

(1)自社事業からの利益を最大化することができます。

知的財産権は、独占排他権であるため、競合他社の市場への参入を防ぐことができます。これにより、市場でのシェアを有効に獲得することができます。また、価格競争に陥ることがないため、利益率を上げることが可能となります。

 

(2)模倣防止

知的財産を権利化することで、第三者の模倣に対して差止請求、損害賠償請求という法的措置をとることが可能となります。これにより、第三者の模倣を排除でき、自社製品に対する信用力を維持することが可能となります。

 

(3)ライセンス収入

自ら実施しない場合は、ライセンス契約を結ぶことで、ライセンス収入を得ることが可能となります。また、知的財産権を有するが故に他企業(大企業等)から問い合わせをもらえ、ライセンス契約に結び付けることも可能となります。特に、大企業であっても対等に交渉を行うことができるという、強い交渉力を得ることができる点が大きなメリットです。

 

(4)営業力の強化

例えば、特許権を取得すれば、技術力が評価されることで、取引先や顧客からの信用力を高めることができます。また、取引先が安心して製品を購入できることで、新規取引先の開拓を有利に進めることが可能となります。

 

(5)海外進出を有利に進めることができます。

日本の特許庁の信頼度は海外でも高く、例えば、日本で特許権を取得していることによって、世界的にも技術力が評価され、海外進出を有利に進めることが可能となります。

3.知的財産権に関するコスト削減方法

近年、特許庁をはじめとする各種行政機関が、知的財産権に関する分野で積極的に中小企業支援を行っております。例えば、特許庁が行う「審査請求料・特許料等の費用の軽減制度」等の各種補助金・助成金制度への申請が認められれば、知的財産権に関するコストを効果的に削減することができます。

 

また、各都道府県には、「知的財産権」に関する無料の相談窓口(「知財総合支援窓口」)が設置されております。この窓口は、アイデア段階から事業展開までの知的財産権に関する相談を受け付ける相談窓口であり、専門家(弁護士、弁理士等)のアドバイスを無料で受けることが可能です。このような窓口を有効活用することで、知的財産権に関するコストを効果的に削減することができると共に、新たな気付きを得ることができます。

2020年1月26日「頑張る企業応援!セミナー」

1月26日(木)開催の「頑張る企業応援!セミナー‘20」では、「中小企業の知的財産権活用セミナー」~補助金制度とコスト削減方策を詳しく解説します!~と題して、身近な事例を挙げながらより詳しくお話しさせていただきたいと思います。

 

例えば、以下に該当する項目がある方は是非ご参加下さい。

・「知的財産権」の活用方法がよくわからない

・自社に「知的財産権」に関係するものがあるのかよくわからない

・「知的財産権」に関する補助金制度について聞いたことがない

・「知的財産権」に関するコスト削減方法について知りたい

 

編者注:羽柴拓司弁理士のセミナーは、好評のうちに終了いたしました。

執筆者紹介


弁理士 羽柴拓司(はしば・たくじ)

 

特許、実用新案のみならず、意匠、商標等、知的財産のあらゆる分野での対応と総合的なアドバイスが可能です。特許では、機械、装置、プリント配線板、日用品の分野を数多く経験しております。また、知財部門を持たない企業様のサポートを得意としております。

  1. 知財活用(出願戦略を含む)
  2. 知財調査
  3. 知財教育

海岸通特許事務所

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