人口減少、AI や IT 技術の進歩、急速な技術革新等、中小製造業を取り巻く環境は厳しく、
これまでとは異なった経営戦略が必要と考えられます。
今回は筆者が普段見聞きしているお客様や経営環境から今後の中小製造業の経営戦略を
考えていきたいと思います。
一昔前の中小製造業は下請けや協力会社と言って大企業の製造ラインの一部を構成する
場合が典型的と考えられます。決まったお客様から安定した受注を受け、日本人の長所と
考えられる生真面目な性格と職人気質の熟練技術に基づいた高品質の製品(半製品)を安
定的に提供してきたのではないでしょうか。
しかし、現在の経営環境が抱える最大の問題点と考えられる人口減少により恒常的な人
手不足が続いています。従って各企業は待遇や働きやすさを改善し求職者に選んでもらえ
る職場環境を整えることにより人材を確保していく必要があると考えられます。筆者は経
営コンサルタントとして 15 年以上様々な企業を見てまいりましたが、業績が良い企業はほ
ぼ 100%といっていいほど現場がきれいで従業員も活気に満ちており、現場の雰囲気も明る
く、整理整頓が行き届いています。このような企業は品質も高く元請けからも大切にされ
ています。
このような企業では整理整頓→作業効率のアップ→不良品の減少 など一つ一つの施策
が良いサイクルで回りさらなる優良企業へと常に成長を続けていくように見受けられます。
反対に現場が散らかっている企業は、整理整頓ができていない→無駄な動きやモノが多い
→不良品が多い など一つ一つの施策が悪いサイクルで回り業績不振企業へまっしぐらと
なっているように見受けられます。
特に現場が散らかっている企業は現状で精いっぱいという雰囲気が訪問して 10 分もすれ
ばすぐに見えてきます。社長が現場から離れることができず、何かあった場合はすぐに社
長が飛んでいかなければ作業が滞ります。このような状況ではいつまでたっても現状を維
持するのが精いっぱいで事業の拡大などは遥か彼方という状況に陥っています。
ですので悪いサイクルに陥っている企業は小さなところから少しずつ良い施策を取り入
れ良いサイクルに変えていく必要があると筆者は考えています。例えば使い終わったスパ
ナをそのままにしておくのではなく決まったところに戻す。当たり前のようですがなかな
かできないものです。またスパナを片付けたからといってすぐ利益が増えるわけではあり
ません。しかししっかりした利益体質はじっくり時間をかけて作りこんでいくしかありま
せん。スピード重視の今のご時世では「古い考え方」と思われるかもしれませんが、筆者
は仕事をすればするほどこの考えに確信を持つようになりました。これは筆者の考え方で
すが簡単に作ったものは簡単に壊れる。しかし時間をかけてじっくり作ったものは少々の
ことではびくともしないと考えています。
また、ヒトの問題はどこまでいっても重要な問題となって立ちふさがります。いくら良
い仕組みやルールを作ったとしても従業員一人一人がやる気をもって取り組まなければ絵
に描いた餅になってしまいます。筆者の感覚ではルールや仕組みなどのハードの部分は業
務改善の 10%くらいの価値しかないと思っています。残り 90%はいかに全従業員にやる気
をもってもらうかであると考えています。逆説的な言い方になるかもしれませんが、全従
業員が本気でやる気を持っていれば業績の悪い企業であろうとそれだけで企業業績は自然
と改善すると考えます。
文章にして書くと簡単ですがこれを実行していくには社長や幹部の全人格、全てのスキ
ルを総動員しなければ達成はできないほど大変な仕事だと考えています。
このようにして良いサイクルが回り始めれば作業者は作業に集中できリーダーはリーダ
ーの仕事に集中できます。必然的に社長が現場を数日離れたとしても会社はしっかりと回
っていく体制が整うと考えられます。本来会社は社長が少し離れたとしても十分機能して
いく状態が望ましい状態と言えます。そして社長は積極的に外に出ていき、新しい仕事を
探し、次々と良いサイクルとして回っている自分の会社に付け加えていく。こうして企業
は恒常的な成長が見込まれると考えられます。
ここまできた企業は間違いなく利益体質であると考えられます。しかしこのような会社
で働いていれば日々が楽しく充実してくると考えています。筆者は利益はこのような充実
した日々を過ごすための手段であると考えています。とかく利益重視、コストパフォーマ
ンス重視の考え方が広まっていますがお金に振り回されても全く楽しくないと思います。
是非とも業績のよい会社が 1 社でも増え、そこで働く人たちの楽しさや充実した毎日を
過ごしていただきたいと思います。
公認会計士宮川靖規事務所
公認会計士・税理士 宮川靖規
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