神商セミナーへのご参加、誠にありがとうございました。インボイスに関する不安、スッキリ解消できたでしょうか。セミナー後半でのQ&Aを掲載いたしますので、お役に立てれば幸いです。10月の本番開始に向けてしっかりとご準備ください。
こうべ企業の窓口ではインボイス制度を含めた経営に関するお悩みを「経営なんでも相談」にて受付けております。是非お気軽にご相談ください!!
A1.インボイス制度に登録するかどうかは事業者の任意ですが、取引先にも影響するため、登録するかどうかをしっかりと検討する必要があります。
すでに消費税の申告・納付を行っている課税事業者は、追加の事務負担は多くありません。通常は登録しないデメリットの方が大きいと考えられますので登録するのがよいと考えます。
一方、免税事業者は慎重な検討が必要です。免税事業者はインボイスを発行できないため、販売先は仕入税額控除ができず、販売先の消費税納付額が増えるという問題があります。
しかしながら販売先の状況によってはインボイスが不要な場合もあります。具体的には、販売先が消費者や免税事業者で申告・納付の義務がない場合や、課税事業者であっても簡易課税又は2割特例により消費税の申告・納付を行っている場合です。
販売先が少ない場合は、販売先にインボイスの要否を個別に確認することが考えられます。一方、主要顧客からインボイスを要求された場合や、販売先が多く個別に確認するのが困難な場合は、登録した場合、登録しない場合のメリット・デメリットを比較検討し、登録の要否を判断することになります。
A2.業務委託・フリーランスには免税事業者の方が多くいると思われます。免税事業者は影響が大きいため、登録した場合、しない場合のメリット・デメリットをよく検討する必要があります。
登録した場合のメリットは、販売先が今までどおり仕入税額控除できるため、取引継続がインボイス制度に左右されない点です。デメリットは、免税措置が受けられなくなるため、申告・納付が必要となる点です。
登録しない場合のメリットは、今までどおり消費税の申告・納付が不要な点です。デメリットは、販売先で負担増となるため、その分の値引き交渉や取引から除外される可能性がある点です。
このように免税事業者にとっても、免税事業者から仕入している課税事業者にとっても影響が大きいため、様々な経過措置が用意されています。
売手側の経過措置としては「2割特例」があります。免税事業者がインボイス登録した場合、納付額を売上に係る消費税の2割とするシンプルな計算で済みます。また、申告時に2割特例か本則課税を選択でき、有利なほうで申告することができます。3年間の期間限定ですが2割特例のメリットは大きいです。
買手側の経過措置としては、免税事業者からの仕入であっても制度開始後3年間は80%、その後3年間は50%が仕入税額控除できます。また、制度開始後6年間は、基準期間における課税売上高が1億円以下であれば、税込1万円未満※の課税仕入についてはインボイスなしで仕入税額控除できます。これは仕入先が課税事業者か免税事業者を問わず適用できます。
販売先から値引交渉を持ちかけられた場合は、これらの経過措置も踏まえて交渉するのがよいと思われます。
※「税込1万円以下」を「税込1万円未満」と訂正しました。23/8/4
A3.国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で公表されています。
公表される項目は、氏名・名称、登録番号、登録日のほか、法人の場合は本店所在地、個人事業者の場合は希望すれば屋号や事務所所在地です。
なお、交付を受けた請求書等に記載の登録番号を基に検索することになります。
A4.取りやめたい事業年度の初日から15日前までに登録取消届出書を提出する必要があります。(例えば3月決算法人の場合は3/17までに提出する必要があり、3/18以降の提出であれば取りやめは翌々事業年度以降となります)
ただし、登録日が令和5年10月1日を含む事業年度の場合を除き、登録後2年間は免税事業者に戻ることができません。また、課税選択届出書を提出している場合は不適用届出書も提出する必要があります。
A5.インボイス登録事業者は、原則インボイスの発行義務を負いますので、まずは発行を依頼します。ただし、以下のようにインボイス不要で仕入税額控除できる取引もありますので確認が必要です。
また、制度開始後6年間は、基準期間における課税売上高が1億円以下であれば、税込1万円未満※の課税仕入についてはインボイスなしでも仕入税額控除できる特例があります。
※「税込1万円まで」を「税込1万円未満」と訂正しました。23/8/4
A6.一方的に消費税分の全額を減額すると、独占禁止法や下請法上問題となる場合があります。
減額交渉にあたっては、免税事業者からの課税仕入れについての経過措置(当初3年間は8割、その後3年間は5割の控除可能)や免税事業者自身の仕入れに係る消費税負担を考慮しなければなりません。その上で、下請業者としっかり協議しましょう。
A7.インボイスは記載要件さえ満たしていれば、手書きでも問題ありません。インボイスを間違えた場合ですが、これは手書きであれ、システムなどからプリントしたものであれ、修正したものを交付する必要があります。
修正方法としては、
・改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
・修正箇所と修正内容を明示した書面を交付する方法
があります。
販売システム等でプリントアウトしている場合であれば、誤った箇所を修正して、インボイスを改めて交付するほうが効率的と思われます。
A8.カード会社からの請求明細書はインボイスではありませんので、カード払いした相手先からの利用明細やレシート等でインボイスの要件を満たしているものが必要となります。
なお、従来よりカード会社からの請求明細書だけでは原則として領収書の代わりとはなりません。
A9.インボイス制度はあくまで消費税の仕入税額控除に関するものです。経費にできるか否かは所得税法、法人税法の規定によることになります。したがって、事業に関連するものは概ね経費にできると考えられます。
ただし、インボイスがいらないからといって、証拠書類が何もいらないというわけではなく、少なくとも取引を行った日、取引内容、取引金額が記載された請求書等の保存は必要です。Q8でもありました、クレジットカードの利用明細での経費計上についても支払のもとになった証拠資料をしっかりと保存しておく必要があります。
A10.一般的な質問は国税庁インボイスコールセンター(0120-205-553)へお電話、個別具体的な内容は管轄の税務署へご相談ください。なお、こうべ企業の窓口ではインボイス制度を含めた経営に関するお悩みを「経営なんでも相談」にて受付けております。是非お気軽にご相談ください!!