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研究開発税制をご存知ですか?

税理士 豊見知雄 (税理士法人シーシーアイ)

税制にはさまざまな優遇措置があります。その中でも税額控除制度は、その名のとおり税 額そのものが直接減額されるため、もし適用が可能であればキャッシュフローに対するそ の効果は小さくありません。そんな税額控除制度のひとつに研究開発税制がありますが、 安倍政権が掲げた目標(2020 年頃の名目GDP600 兆円や民間企業の研究開発投資の対G DP比 3%)を達成するために、民間企業の研究開発投資を年平均約 5%増としていくこと が必要となりました。これにより平成 29 年度より拡充された内容を含めてご紹介します。

 

この研究開発税制とは、研究開発している事業者を支援する制度であり、具体的には「製 品の製造や技術の改良・考案・発明にかかる試験研究のために要する費用」を支出してい る事業者、つまり主に製造業者がその支援対象として想定されていました。しかし平成 29 年度からはその支援対象に「ビッグデータ等を活用した第 4 次産業革命型の新たなサービ スの開発にかかる試験研究費」が追加されました。例えば、センサー等を活用して様々な データを収集し、そのデータをAI等の技術を使って分析し、その結果を利用して新たな サービスを設計し、そのサービスの再現性を確かめる、といったプロセスに基づいた研究 開発にかかる費用です。これは、自然災害予測や農業支援、ヘルスケアサービスなどあら ゆる分野が対象になりますので、適用対象となる事業者も広がるものと思われます。

 

つぎに研究開発税制のしくみですが、そのベースは「総額型」と「高水準型」から構成 されており、平成 29 年度と平成 30 年度についてはその内容がさらに拡充されています。(同 制度は個人事業者を対象とした所得税法にもありますが、ここでは法人の事業者を前提と します。)

<平成 29・30 年度>

・総額型→試験研究費の総額の一定割合を法人税から控除できる。

     控除額:試験研究費の額×控除率

         控除率は、前 3 年における試験研究費の平均額に対する増減割合(増減試験研究費

         割合)に応じて 6~14%

     控除上限:法人税額の 25%相当額

・高水準型→試験研究費の平均売上高に占める割合(試験研究費割合)が 10%を超える場合、

      その超えた部分について法人税から控除できる。

     控除額:(試験研究費の額-平均売上金額×10%)×控除率

         控除率は、(試験研究費割合-10%)×0.2

     控除上限:法人税額の 10%相当額

なお、高水準型に替えて、総額型の控除上限に次の割合を上乗せすることもできる。

 控除上限の上乗せ:(試験研究費割合-10%)×2、ただし最大 10%まで

 

さらに、中小企業者等(資本金が 1 億円以下である等一定の法人)の場合には、中小企業 技術基盤強化税制として、総額型の控除率が優遇されています。

<平成 29・30 年度>

・中小企業技術基盤強化税制→中小企業者等については、試験研究費の総額の一定割合を

              法人税から控除できる。

          控除額:試験研究費の額×控除率

              控除率は、増減試験研究費割合に応じて 12~17%

          控除上限:法人税額の 25%相当額

なお、中小企業者等の増減試験研究費割合が 5%超の場合には、控除上限に 10%を上乗せ することができる。(高水準型との選択適用)

 

また、試験研究費の中に特別試験研究費(大学や特別研究機関等と共同で行う試験研究に 要する費用など)がある場合には、より高い控除率で計算した金額を法人税から控除でき る「オープンイノベーション型」もあります。

 

上記のとおり、控除税額を計算するしくみは少し複雑なものとなっておりますが、中小企 業者等に該当する場合の控除税額のイメージは次の通りです。

 

(前提)・中小企業者等に該当する法人

    ・試験研究費の額 500 万円(特別試験研究費は含まれない)

    ・税額控除前の法人税の額 300 万円

    ・試験研究費割合は 10%以下のため高水準型は適用なし

 

~パターン1~

 控除率 12%、増減試験研究費割合 5%以下の場合

  ① 控除額:500 万円×12%=60 万円

  ② 控除上限:300 万円×25%=75 万円

  ③ ①<② ∴60 万円

  ④ 300 万円-60 万円=240 万円・・・法人税納付額

 

~パターン2~

 控除率 17%、増減試験研究費割合 5%超の場合

  ① 控除額:500 万円×17%=85 万円

  ② 控除上限:300 万円×(25%+10%)=105 万円

  ③ ①<② ∴85 万円

  ④ 300 万円-85 万円=215 万円・・・法人税納付額

 

なお、中小企業者等に該当する場合には、法人税のみならず地方税である法人住民税についても税額が減額され、実際の納付税額は上記の金額以上に減少します。

 

一般的には、立派な研究室を持つ大企業のための税制と思われがちですが、実は中小企業 にとってかなり優遇されている税制なのです。とはいえ、そのしくみは少し複雑で、また 頻繁に税制改正がされる制度ですので、適用を検討される際には顧問税理士にご相談ください。

税理士法人シーシーアイ

税理士 豊見知雄

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