ホーム 〉My法務コラム 〉 税理士執筆コラム 〉 特別償却 と 税額控除どちらが有利?

特別償却 と 税額控除どちらが有利?

税理士 福岡裕次 (税理士法人はやぶさ)

表題の質問は、税理士である私にとっては、一概に「どちらが良い」と即答がしづらい質問でもあり ます。お客様の状況や、お客様の経営に関する考え方によって答えが変わってくるからです。架空の 3 人の社長の状況に応じ、回答がどう変わるかをご確認ください。わかりやすさを優先し、法人税の みの試算結果で話を進めています点、予めご容赦頂けると幸いです。前提が変わると税額も変動しま す。同種の取引をご検討の際は、税務顧問の先生とよくご相談の上、ご決断ください。

 

【各社長のご質問】

(今回の質問)

機械装置(耐用年数 10 年)3,000 万円について、今期末ギリギリに取得・稼働開始予定です。

特別償却(即時償却)又は 7%の税額控除を受ける予定です、どちらが有利ですか?

(前提)

当社は神戸市内で金属加工業を行う資本金 5,000 万円の株式会社です。

当期利益の見込は 2,000 万円となりそうで、9 月末決算で青色申告です。

工業会証明の入手済みで、期末までに経営力向上計画の認定を受けることが確実です。

 

(税理士の質問と各経営者の反応)

税理士からの質問 A社長の回答 B社長の回答 C社長の回答

前期の所得(利益)は?

前期の法人税は?

利益:約2,000万円

税金:約400万円 

損失:△1,000万円

税金:なし

利益:約2,000万円

税金:約400万円

来期の利益見込は?

今後の見通しは?

利益:約2,000万円

明るい

利益:約5,000万円

とても明るい

利益:1,000万円

暗い

税金に対する考え方

財務に関するご希望は?

その期その期で最小限に税金を納めたい。

当座の資金繰り優先

長い目で見て節税をしたい。

自己資本比率を高m対。

節税も大事だが。。

資金繰りがとても心配。

 

【A 社長への回答等】

特別償却(即時償却)が良いでしょう。

(理由)

特別償却(即時償却)で、当期 3,000 万円の経費(税金計算上)を作ることができます。そのため 当期の法人税は0円にできます。 また、当期生じる 1,000 万円の損失(青色欠損金)は来期の利益から引くことができるので、来期 の法人税部分は約 170 万円に圧縮できます。直近 2 期分の法人税について 570 万円(当期 400 万、 来期 170 万)の大幅減が可能となります。

(注意点)

通常であれば、機械装置代 3,000 万円は毎年 300 万円の減価償却費で費用処理され、所得と税金を 長期間減らす効果があります。今回の選択により、機械装置代は一度に全額費用処理されますので、 その後は税金を減らす効果が得られなくなります。その分、来々期以降の税負担は少しずつ重くなるでしょう。このような一時的な節税の効果を一般的には「課税の繰延」と呼んでいます。

 

【B 社長への回答と理由、注意点】

税額控除が良いでしょう。

(理由)

税額控除は最大で、3,000 万円の 7%相当、210 万円となります。但し、法人税の 20%で頭打ちとさ れます。当期 1,000 万円の所得になり控除前の法人税は 170 万円程度になるため、210 万円の内、約 34 万円程度の控除しか受けられないでしょう。来期に多額の法人税(約 1,100 万円)が見込まれる ので来期の残額を一気に控除することができるでしょう。当期と来期の法人税の減額合計 210 万円 は利益として社内に残すことができます。特別償却と異なり将来の税負担にしわ寄せが生じること もありません。

(注意点)

来期の利益計画が約 4,000 万円あたりまで落ちると、法人税 20%頭打ちが発動しますので、税額控 除のメリットをフルに活用できなくなる点に注意してください。

 

【C 社長への回答と理由、注意点】

即時償却が良いですが、繰戻還付との併せ技で前期の税金を取り戻しましょう!

(理由)

前期黒字で当期赤字の場合、即時償却などで大きな赤字を戦略的に作ると実はいいことがあります。 青色申告の中小企業には「繰戻還付」といって前期納めた税金を還付してもらえる制度があります。 前期利益(所得)以上の損失(欠損)が出れば、前期の法人税のほぼ全額の還付を受けられます。繰 戻還付も行うことで C 社長の場合は前期の 400 万円相当の税金を戻してもらい、資金繰りの改善に つながるでしょう。合計 800 万円(当期税金 400 万円と還付分 400 万円)の一時的な節税が見込ま れます。 固定資産を期中に直接費用処理しておけば総資産は膨らまず、将来の償却費負担がなくなるので、 将来黒字化に建て直せた際の収益性は改善するものと考えられます。

(注意点)

赤字そのものをネガティブにとらえる取引先や金融機関もあるでしょう。事前に根回しも必要にな るかもしれません。繰戻還付は国税だけの制度なので、地方税部分は返してもらえません。設例上、 法人税の欠損金は繰戻還付で使い切るので、来期黒字になれば法人税が発生することになります。

 

税理士 福岡裕次(ふくおか・ゆうじ)

 

①会計・税務を中心に社長のビジネスの成功をアシストします。②弊社の主力業務連絡です!運営から事業承継までしっかりサポート致します。③合併や分割といった組織再編についても、ご相談ください。再編の前後で税金で頭を悩ませないよう、早め早めの相談が大切です。

  1. 決算・申告業務(個人・法人)
  2. 医療・福祉関係の決算・申告
  3. 組織再編税制(主に国内)

税理士法人はやぶさ

〒650-0033 神戸市中央区江戸町98番地の1 東町・江戸町ビル2階

TEL 078-325-2660

http://www.z-hayabusa.or.jp


皆様へお願い

このコラムをご覧になって、専門家にお電話いただく際には、「『My法務コラム』を見て電話した」とおっしゃっていただけると、スムーズです。

宜しくお願いいたします。

 

 

 

 

 

こうべ企業の窓口

お問い合わせ先: 078 - 891 -6115 (平日9:00~18:00)

事務局: 〒657-0027 神戸市灘区永手町1丁目4番18号 大西ビル2階 オネスト社労士事務所内