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業務上のケガ(労災)でも障害年金を請求できます。

社会保険労務士 西尾 隆 (西尾隆社会保険労務士事務所)

 雇用している従業員が仕事中(業務上)に大ケガを負ってしまいました。

 仕事や通勤が原因の病気やケガで後遺症が残った時、私たちの生活を支えてくれる制度の

1 つに障害年金と労災年金があります。

 業務上の病気やケガの場合、労災事故として、一定の要件によっては障害補償給付を
受給することができます。
 このように労働者災害補償保険制度から、障害補償給付を受給している場合、障害年金を請
求することができるのでしょうか。


 最初に知っておいていただきたいのは、労災と障害年金が全く別の制度であることです。

 障害年金は日本年金機構が審査を行い給付するもので、労災は厚生労働省労働局が管轄し、

審査・給付するものです。
 それぞれの制度が別の基準で判定されており、その審査項目も障害年金と労災では異なって

います。労災の等級が 1~14 級まであるのに対し、障害年金は 1~3 級となっており、それぞれの

等級がリンクしているわけではありません。
 そのため、労災で等級に認定されているからといって障害年金を受給できるわけではありません。

障害年金は障害年金でまた別に請求をする必要があります。
 
 そして、労災と障害年金をそれぞれ申請して給付を受けられることになった場合、実はどちらか
らも全額給付を受けられるわけではありません。
 障害年金と労災の両方から給付を受けることができる場合は、どちらからも全額受け取ること

ができるわけではなく、労災からの給付が減額されて支給されることになります。

 これを障害年金と労災年金の「併給調整」といいます。
 
 調整の割合は、障害厚生年金 2 級の場合、障害厚生年金+障害基礎年金が、100 に対して、
労災の障害補償年金は、73 になり、労災の方で、27%減額調整されます。
 
 障害厚生年金 3 級の場合、障害厚生年金が、100 に対して、労災の障害補償年金は、
83 になり、労災の方で、17%減額調整されます。
 
 そして、障害基礎年金と労災の調整は、障害基礎年金 100、障害補償年金ともに、88 となり
労災の方で 12%減額調整されます。

 

 国民年金、厚生年金保険は受給者も年金保険料を納付していますが、労災保険料は全額会社
負担で、受給者は労災保険料を納付しませんので、労災給付の方で減額調整される仕組みにな
っています。
 
 ところが、20 歳傷病の障害基礎年金と労災の調整は、逆に労災が全額支給され、障害基礎年
金は全額支給停止になります。
 20 歳傷病の障害基礎年金は、国民年金の保険料を納付することなく受給できるという理由から
労災が優先して全額支給され、障害基礎年金は全額支給停止される仕組みになっています。
 
 最後に、労災と障害年金の調整があるのは同一傷病の場合です。
 仕事中の事故で足を大ケガして、労災給付を受けていますが、しばらくしてから、別の理由で
うつ病で障害年金を受給するようになった場合には、別傷病なので労災と障害年金の調整は
ありません。
 
 労災給付と障害年金は全く別の制度で運用されておりますので、専門家に相談することを
お勧めいたします。

 

 西尾隆社会保険労務士事務所
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