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勤務間インターバル制度って?

社会保険労務士 西川みさき (社会保険労務士法人NSR)

最近注目を集めている「勤務間インターバル制度」をご存じでしょうか。

この制度は、勤務終了から次の勤務時間までのインターバル(連続して休息する時間)を規定するというものです。

 

労働基準法では、1日及び1週間の労働時間に上限を定め、1ヶ月や1年という期間等で の法定外労働時間数を規制していますが、長時間労働の抑制にあまり歯止めがかかってい ないのが現状です。残念ながら、過重労働により心身共に疲弊した結果、労働者が自殺す るという痛ましいニュースも後を絶ちません。

 

一方で、少子高齢化の影響で企業の多くが人手不足に苦心し、労働力確保のために賃金の 引き上げや就業環境の改善を図るなどの工夫に取り組んでいます。

近年は女性や高齢者を中心に就業人口が増加傾向にありますが、日本の経済成長率を上げ るためにさらなる生産性の向上が求められています。

もちろん短期的には設備投資などによって自動化・省力化を図ることは有効ですし、中長 期的にはAI(人工知能)が発達することによって雇用が代替されるようになるかもしれ ません。でも、目の前の問題である「仕事はあるが、それを担う人がいない」という問題 を解決するためには、現在の人手で生産性をアップする手段・方法を考えていかなければ ならないと思います。生産性を上げなければ賃金の引き上げも実現できません。

 

では、なぜ「勤務間インターバル制度」が注目を集めているのでしょうか。

 

人手不足で仕事が終わらなければ残業しますね。できるまで、終わるまで頑張るという人 も少なくないのではないでしょうか。始業から最初のうちは元気でも、労働時間が長くな ればなるほど誰しも疲労します。疲労の程度は個人差がありますし、その内容についても 肉体的なものか精神的なものかなど様々です。疲労の度合いは生産性に大きな影響を与え、 仕事の能率が低下、業務上災害の発生の危険性も高くなります。当然ながら労働者の心身 の健康保持にも影響が出ます。何とかしてこの悪循環に歯止めをかけなければなりません。

 

疲労は、労働時間の途中にとる休憩や帰宅しての休息、休日など生活サイクルの節目にお いて回復するものと考えられてきました。

さらに最近では、物理的に職場から離れるだけでなく、心理的にも仕事から離れることが できなければ疲労の回復が遅れるため、オンオフの切り替えが重要と考えられています。

 

では、日々のオフの時間はどの程度あればよいのでしょうか。

 

例えば、勤務間インターバルを11時間として見てみましょう。

週5日勤務で所定労働時間は8時間、休憩1時間、通勤時間は片道1時間とします。

 

 睡眠時間

労働時間

労働時間 残業時間

睡眠時間
      9:00

12:00

18:00

22:00

 

 

上図は、9時始業で22時まで残業し、翌朝9時に出勤するようなケースです。

勤務終了から翌日の勤務までのインターバルは11時間ですが、通勤に要する時間や生活 時間を除くと睡眠時間は6時間程度となります。これでは全く日々の生活に余裕がありま せんし、この勤務スタイルを続けた場合の時間外労働時間は月間80時間を超え、過労死 ラインに近づきます。おそらく、平日は仕事以外のことは全く考えられないといった生活 になるのではないでしょうか。

企業としては、労働者の心身の健康を確保しつつ生産性を上げるために、最低でもこの11時間の勤務間インターバルを確保すべきではないかと思います。

 

もし、残業時間が延びて23時まで勤務した場合は、翌日の出勤時刻を1時間遅く10時 にすることで勤務間インターバル11時間を確保します。

この例で残業を全くしなかった場合にはインターバルは15時間で、生活時間や睡眠時間 にかなり余裕を持てますから、勤務間インターバルは11時間から15時間の間で設定し、できるだけ長くすることが望ましいでしょう。

 

平成29年度より、厚生労働省は勤務間インターバル制度を導入した企業に助成金を支給 します。ぜひ活用して、労働者の心身の健康の保持と生産性アップの両方を実現していただきたいと思います。

 

厚生労働省HP 職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース) http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html

 

社会保険労務士法人NSR 神戸オフィス

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