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働き方改革を成功に導く鍵とは

特定社会保険労務士  西川 みさき  (社会保険労務士法人NSR)

 「働き方改革関連法」の施行がまもなくとなり、 「働き方改革」への取り組みが急務とな っています。なかでも、2019 年 4 月 1 日施行の時間外労働の上限規制(1 ヶ月 100 時間未満、複数月平均 80 時間以内、いずれも休日労働を含む)と年次有給休暇の年 5 日時季指定義務について、対応に苦慮される企業が多いのではと推察します。時間外労働の上限規制については、中小企業は 2020 年からと適用が 1 年間猶予されるものの、人材不足等が原因で長時間労働になっている現状であればそれを1 年で改善するということは容易なことではありません。
 
 これまでにも、企業規模にかかわらず、採用手法や採用条件の見直し、労働力確保のための賃金引き上げや就業環境改善への取り組み、設備投資などによって自動化・省力化を図るなど様々な工夫をされていると思います。
 
 このたびの法改正では、先ほどの時間外労働の上限規制には「6 ヶ月以下の懲役または 30 万円以下の罰金」、年次有給休暇の年 5 日時季指定義務には「30 万円以下の罰金」という罰則が設けられました。正しく待ったなしの状況となりましたが、罰則適用を恐れるあまり、実態と異なるごまかしやみかけの体裁を整えるだけでは、法違反となるだけでなく従業員の不信感を招いてやる気を削ぎ、ひいては従業員の離職を招きかねません。
 
 一体どうすれば、生産性アップにつながる働き方改革を進めることができるのでしょうか。
ニーズの多様化が進み変化の激しい市場や経済状況のなかでは、おそらく答えは 1 つではなく、明快な正解もありません。ただ1つわかっていることは、「人」なしには企業は成り立たないし、「人」の成長なしには企業も成長し続けられないということです。働き方改革の目的は法令遵守ではなく、変化が激しく超少子高齢化の進む時代に、企業が発展し続け、働く人がより豊かになることです。
 
 したがって今このタイミングだからこそ、「人の育成」と「組織の活性化」が重要となります。人の育成、組織の活性化をどのように考え、働き方改革を実現していくのか、参考までに1つの考え方を要点整理してご紹介します。

 

1.人材力

 勤続年数が長いほど、知識や経験が蓄積され、人はそれをスキル化すると考えられています。ただし、同じように学習し、経験したからと言っても、同じようなスキルが身につくわけではありません。そもそも、人にはその人独自の強みや弱みを備えていて、一人ひとりが違うという前提に立ちます。従って、一人ひとりが持つ思考や行動の特徴・強みに着目することは、より潜在的能力を発揮させ、人を成長させる可能性を高めます。自分自身の可能性を知ること、他人の強みや特徴を知って生かすことは相乗効果を生み出します。人材力を知るには、診断ツール*1 を活用して個の違いの理解を深めると良いでしょう。

*1 ハーマンモデル効き脳診断、ストレングスファインダー、MBTI、エマジェネティクスなど

 

2.組織力

 従業員が「主体性がない」「やらされ感が強く積極的でない」というケースでは、企業・組織の理念・ビジョンと個人のビジョンが結びついていないことに原因があることが多いようです。私たちは生きている以上、常に「何をどうするかの選択」をしています。そして、いつも自分にとって心地よい、快を感じる方を選ぶようにできています。でも、職場では、いつも快を感じる方を選べるとは限りません。経営者や上司からの指示命令であれ ば、気が進まなくても業務としてやらなければなりません。もちろんルールや仕組みは大切ですが、トップダウンによって仕事だから当然というような状況が積み重なれば、主体性も積極性も失われます。組織が一丸となって、人材力を活かし相乗効果を生むには、どこに向かって進んでいくのか、到達すればどうなっているのか、そこでの憧憬がありありと浮かぶように共有されていることが不可欠です。そしてトップダウンではなくボトムアップによって、何のために(目的)、何を達成するのか(目標)が明確になっていることも必要です。

 

3.関係力  

 “人と人は違う”ということが頭ではわかり、“共有ビジョン”をつくったとしても、実際の業務活動のなかで活かされなければ、人も組織も成長しません。「自発的な組織」となるためには、質の高いコミュニケーションをとって、お互いのモチベーションを高め、お互いの能力を引き出すような「関わり力」が必要になります。風通し良く、オープンに話し合うために、コーチングの傾聴・承認・質問のスキルを上げるような取り組みが有効です。
 
 上記の3つの力のバランスをとりながら、個々人の成長とともに組織の活性化を図ります。
 人材力 × 組織力 × 関係力 の成長循環において、新しいアイデアが生まれ、課題にチャレンジし、より高い目標に向かっていくなかで、これまでのやり方・考え方では到底解決できなかったようなこともクリアしていくことが可能になる、働き方改革はこのような循環の中で実現されていくものではないでしょうか。

 研修に取り組まれている企業も多いと思いますが、人育てには時間を要します。何度教 えられても、実際にやりながらでないと本当の意味で学ぶことができず、行動も変わりにくいものです。研修等で得た学びをどのように実際の業務と結びつけていくか、人の多様性を尊重する組織風土を醸成する過程においていかに相乗効果を生み出していくかが、働き方改革成功の鍵と考えます。

 

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