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「民法改正で交通事故の事件処理が変わる?」

弁護士 平野 謙 (平野法律事務所)

  2020年4月から、民法の主として債権法の分野が改正されます【民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)、原則的施行日:2020年4月1日】。

  この改正に伴いまして、民法の総則に関する規定(時効等)も改正されますので、交通事故の事件処理についても、取り扱いに注意が必要です。

 では、どのように変わってくるのでしょうか。

  主な注意点をご紹介します。

 

時効に関する注意点

 現行民法では、債権の消滅時効期間は、原則として、権利を行使できるときから10年とされています(現行民法167条1項)。

 ところが、これが2020年4月から改正されまして、消滅時効の主観的起算点として、「債権者が権利を行使することできることを知った時から」5年、客観的起算点として、「権利を行使することができる時から」10年で消滅することになります(改正民法166条1項)。もっとも、これには例外がありまして、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効については、「権利を行使することができる時から」20年とされています(改正民法167条)。

 つまり、人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効期間は、通常の場合より長くなるということです。

 このことは、交通事故の損害賠償請求権にも影響してきます。

 現行民法の不法行為の規定では、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは」時効によって消滅し、「不法行為の時から20年を経過したときも」同様とされています(現行民法724条)。

 このことは、民法改正によっても基本的には変更がないのですが、「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効」については、5年間とされています(改正民法724条の2)。

 つまり、交通事故において、人身損害の損害賠償請求権については、これまで3年間で時効消滅していたのが5年間に延長されることになります(物損は3年間のままです)

 

法定利息・遅延損害金・中間利息控除に関する注意点

 次に、法定利息については、現行民法では、年5%とされています(現行民法404条)。    

 この年5%というのは、市場の利息とかけ離れているという批判がありましたので、改正民法では、原則として、年3%に変更になります。ここで、「原則として」、と言いましたのは、変動することがあるからです。どのような場合に変動するのかは、今回のテーマでありませんので、ここでは割愛します。大事なのは、年5%→年3%になるということです。     

 この法定利息の変更に伴いまして、交通事故の事件処理においても大きな変更が出てきます。これまで、交通事故があった場合には、事故発生の時から、損害賠償額に年5%の遅延損害金がついていたのですが、2020年4月以降に発生した事故については、年3%しか遅延損害金がつかないことになります。

 また、法定利息の変更に伴って、中間利息控除についても影響が出ます。

 中間利息控除というのは、聞きなれない言葉ですが、要するに、将来において取得すべき利益を今もらう場合には、その間の利息を控除しなければならないという考え方です。

 交通事故では、逸失利益といって、事故がなければ得られたであろう利益の損害賠償が認められています。例えば、交通事故で後遺障害を負って労働能力を喪失した場合に、その労働能力喪失の割合に応じて、本来、労働能力を喪失していなければ得られたはずの利益の賠償を受けられるのです。この場合、例えば、10年後、20年後に得られるはずの利益を、現時点で賠償を受けられるわけですから、その間の利息を控除しなければいけないと考えるわけです。

 この中間利息控除の利率も現在は、法定利率である年5%で考えられていますが、これが改正後は年3%に変更になります。

 これによって、交通事故によって後遺障害が残存した場合、得られる賠償額は大きくなります。

 

【まとめ】

 以上、見てきましたとおり、民法改正に伴いまして、交通事故処理の取り扱いが変わってくることになります。しかも、その時期は、2020年4月1日からですから、あと半年足らずです。

 身近で交通事故が起こった時には、お近くの弁護士に相談してみてください。 

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