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フランチャイズ契約についての一考察

弁護士 平野 謙(平野・佐々木法律事務所)

巷では、フランチャイズビジネスが隆盛を極めています。コンビニエンスストアしかり、 ファミリーレストランしかり、外食チェーン、居酒屋、ドーナツショップなど枚挙に暇が ありません。

その理由は、一般に、次のように考えられています。

①各種の事業に経験のない人たち に事業参入の機会を与え(事業参入機会の増大)、

②中小・零細業にも規模のメリットを享 受させ、量の面だけでなく、質的な面でも流通の合理化に資し(流通の合理化)、

③革新的 なビジネスを生む出すことにより経済を活性化させ(経済の活性化)、

④パート、アルバイトの雇用にも貢献し(雇用の増大)、

⑤消費者に全国どこでも値段の比較的安い訓練された 良質なサービスを享受できるというメリットをもたらす(消費者のメリット)

等々です。

しかし、本当に、いいことばかりなのでしょうか。 現存するフランチャイズビジネスは、フランチャイザー(本部のことです)とフランチ ャイジー(加盟者のことです)に情報格差・資力格差がありすぎ、本部が不当に利益を得 過ぎているのではないか、というのが本考察の出発点です。

 

1 フランチャイズ契約とは何ぞや?

ビジネスパッケージの提供 本部 対価関係 各加盟店 ロイヤルティの支払 フランチャイズ契約の定義は種々あって難しいのですが、これを解説するのが本旨で はありませんので、ここでは公正取引委員会の定義によって、次のように定義しておき ます。フランチャイズ契約とは、本部が加盟者に対して、特定の商標、商号等を使用す る権利を与えるとともに、加盟者の物品販売、サービス提供その他の事業・経営につい て、統一的な方法で統制、指導、援助を行い(ビジネスパッケージの提供)、これらの対 価として加盟者が本部に金銭を支払う(ロイヤルティの支払)事業形態をいう。

 

2 何が問題か  

フランチャイズ・システムでは、事業を提携する事業者の一方が、個人や中小・零細 企業であることが多く、資金力や事業に関する知識・経験や法律知識等の点において、 フランチャイザーとフランチャイジーとの間に大きな格差があります。このことから、 フランチャイザーにおいて、こうしたフランチャイジーとの間の格差を利用するインセ ンティブが存在します。 そのため、フランチャイズ・システムの発展に便乗し、根拠のない過剰な売上予測を 提示し、又は、十分な情報を提供せずにフランチャイズに加盟させ、巨額の加盟金を取 る、フランチャイザーとしてのノウハウ等を備えず、フランチャイジーの加盟後もノウ ハウ伝授や経営指導を行わないなどといった質の悪いフランチャイザーが出現していま す。また、フランチャイズ契約自体が著しくフランチャイザーに有利な不平等な内容と なっており、加盟後にフランチャイジーがフランチャイズから離脱したいと思っても多 額の違約金条項があるために離脱もできなくなってしまうケースなど、様々な問題が発 生しており、訴訟等に発展する事案が多数発生しています(青林書院 「フランチャイ ズ契約」 西本元 他編 4頁参照)。

 

3 今後のあるべき展開

そうは言っても、フランチャイズ・システムは魅力的な要素をたくさん持っています。 フランチャイザーとしては、自ら開発したノウハウを伝授し、加盟店を募集すること で多額の出店費用を省けるばかりか、加盟店から加盟金をもらって自らの事業を拡大す ることができます。また、ランニングロイヤルティという継続した収入も見込めます。 一方、フランチャイジーとしては、既に社会で成功している経営モデルを利用して、 誰でも経営者として成功できる可能性があり、かつ、被用者として雇い主から指示を受 ける立場にはなく、独立の事業者として主体的に意思決定することが可能になるという メリットがあります。 もっとも、フランチャイザーが自らの利益追求のみを考え、フランチャイジーを食い 物にするようなことをすると、フランチャイズ・システムというビジネスモデルは上手 くいきません。フランチャイジーは、遅かれ早かれ経営破綻するでしょうし、その経営 破綻した責任をフランチャイザーに対して追求しようとするからです(裁判に発展して いる事案の多くはこの形態です。)。 では、どうすればいいでしょうか。 フランチャイザーとフランチャイジーの利害は、当該フランチャイズビジネスを発展 させ、より多くのリターンを獲得するという長期的な部分で共通しています。 そうであれば、フランチャイザーとしては、まず、利益獲得のためのパートナーとし てのフランチャイジーの能力を冷静に分析し、共に事業を継続・発展することができる かどうかを慎重に見極めなければなりません。その能力がないと判断すれば、フランチ ャイズ契約の締結を止めるべきです。また、フランチャイザーとしては、フランチャイジーが支払う加盟金やロイヤルティ を適正な金額に抑えなければなりません。いくら一時的に多額の加盟金が手に入っても、 フランチャイジーが事業に失敗すれば、フランチャイズ・システム全体の評判が下がり、 事業の発展が望めませんし、フランチャイジーが継続的に利益を上げて初めて、継続的 なランニングロイヤルティの獲得が可能となるからです。

 

4 最後に

これまで、フランチャイズ契約書の作成やフランチャイジーの自己破産申立代理人、 フランチャイザーとフランチャイジーの訴訟でフランチャイザー側の代理人になるなど、 フランチャイズ契約に関わってきました。その中で、悶々と考えていたことを今回のテ ーマにしてみました。 経営者の皆様には、是非、魅力的なフランチャイズ・システムを開発していただきた く、期待しております。

 

 

 

 

 

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弁護士 平野 謙

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