消費者契約法が改正されます!


弁護士 森本 圭典 (かなえ法律事務所)

第1.消費者契約法


消費者契約法は、事業者と消費者とでは、販売している商品について有している情報の質及び量や、交渉力に格差があることから、事業者と消費者との契約について、一定の場合に、消費者に契約の取消しを認める法律です。消費者契約法の一部が改正され、平成31年6月15日から施行されますので、その内容をお伝えします。

第2.今回の消費者契約法の改正は、大きく3つに分けられます。


1.事業者の努力義務の明示

 

事業者に、契約内容と情報提供に関して努力義務が課されました。

事業者は、契約の内容を、疑義が生じない明確なもので平易なものとなるように配慮しなければなりません。

また、消費者が、契約を締結するか適切に判断できるように、個々の消費者の知識及び経験に考慮たうえで必要な情報を提供しなければなりません 。

努力義務ではありますが、事業者は誠意をもって対応する必要があります。

2.不当な勧誘行為の追加

不当な勧誘により契約を締結させた場合、消費者は契約を取り消すことができます。今回の改正では、これまでの実例を参考にして、以下の事項が追加されました。

  1.  社会生活上の経験不足の不当な利用:社会生活上の経験が不足していることにつけこみ、勧誘して契約を締結させることです。例えば、婚活中の人に対して、「このままでは絶対に結婚することはできない。結婚するには、うちのサイトへの会員登録が必要だ」と告げて、契約を締結させるような場合です。他にも、異性に対する一方的な恋愛感情を利用して商品を購入させる、いわゆるデート商法も対象となります。
  2. 加齢等による判断能力の低下の不当な利用: 高齢者の方や、病気により判断能力が低下している方に対して、判断能力が低下していることにつけこみ、勧誘して契約を締結させることです。例えば、高齢の認知症の方に、「このままでは、あなたの年金は確実に減っていくので生活が破たんする、生活を破たんさせないためには、うちの投資用マンションを買う必要がある」と告げて、契約を締結させるような場合です。
  3. 霊感等による知見の告知:霊感や超能力による知見によって、不安をあおり、勧誘して契約を締結させることです。例えば、「私には未来を予知できる超能力があるが、あなたは近いうちに不幸な事故に遭う。これを避けるためには、この壺を買うしかない」といったものです。
  4. 契約締結前の債務の実施:契約の締結の前に、原状への回復が困難であるのに、商品を用意して代金を請求することです。例えば、さお竹の販売にあたり、消費者が購入すると決める前に、消費者用にさお竹を切断してしまい、代金を請求するような場合です。他にも、消費者が依頼していないにもかかわらず、事業者が消費者のためと称して調査を行い、物品の調達を行ったことによる損失を消費者に請求する旨を告げ、契約を締結させた場合も、消費者は契約を取り消すことができます。
  5. 不利益事実の不告知の要件緩和:改正前の消費者契約法では、勧誘するにあたり、消費者に利益となる事実を告げ、かつ、消費者に不利益となる事実を故意に告げなかった場合には、契約を取り消せると規定しておりました。この不利益事実の不告知が、故意又は重大な過失によって告げなかった場合にも、契約を取り消せることになり、要件が緩和されました。

 

 

3.無効となる不当な契約条項の追加

 

  1. 事業者が責任の範囲を決める条項等:事業者が債務不履行や不法行為により消費者に損害を与えた場合に、事業者が損害賠償責任の有無や範囲を決める条項は無効になります。他にも、消費者が契約を解除できる場合に、事業者が消費者の解除権を放棄させたり、事業者が消費者の解除権の有無を決める条項は、無効となります。
  2. 消費者の後見等を理由とする契約の解除:事業者に対して、消費者が後見開始、保佐開始、補助開始の審判をうけたことのみを理由として、契の解除を認める条項は無効となります。例えば、賃貸借契約において、「賃借人(消費者)が後見開始の審判を受けたときには、賃貸人事業者は本契約を解除できる」といった条項は無効となります。

第3.さいごに


消費者契約法は、事業者と一般消費者との契約(労働契約を除く)に適用されますので、一般消費者に商品を販売している事業者の方は、必ず、知っておかなければなりません。気が付かないうちに、従業員の方が消費者契約法に触れる勧誘をしているかもしれません。余計なトラブルを防ぐためにも、この機会に、是非、おさえておいてください。

執筆者ご紹介


弁護士 森本圭典(もりもと・けいすけ)

 

弊所は平成元年に開設してから地域に根ざしたリーガルサービスを提供して参りました。生活のなかで生じる様々な問題に取り組み、取り扱った事件の数は多数にのぼります。

  1. 個人の民事・家事事件
  2. 民事事件
  3. 遺産相続

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