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労働組合対応について ~ある日突然労働組合から書面が届いたら~

弁護士 中島 健治 (神戸東灘法律事務所)

 新型コロナウイルスの影響が続き、事業環境にも大きく変化が出ておられる企業が多いことと存じます。雇用への影響も出てきており、それに関連して、労働組合からの団体交渉申入を受けている会社もあるかもしれません。

 ご自身の会社には労働組合に加入している社員はいないから大丈夫、と思っておられる経 営者の方も多いかと存じますが、ある日突然、労働組合から加入通知、団体交渉申入書が届く、ということは十分にあり得ます。今日は、そういった場合の注意点等についてご説明します。

 

1.労働組合とは

 

 労働組合とは、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地 位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」(労働組合法 2条)を言います。

 

2.合同労組について

 

 日本では、労働組合というと、「特定の企業または事業所に働く労働者を職種の別な く組織した労働組合」(弘文堂「労働法」菅野和夫著 より)である企業別労働組合を 思い浮かべる方が多いと思います。このような企業別労働組合は、大・中堅企業に多く 見られます。

 一方、中小企業には、企業別組合が組織されていないことが多く、中小企業労働者 は、「中小企業労働者を組織対象とし、企業の内部ではなく一定地域を団結の場として 組織された労働組合」(弘文堂「労働法」菅野和夫著 より)である合同労組に加入することがあります。合同労組はユニオンとも言われており、労働者が一人でも加入する ことができます。

 合同労組は、労働条件の維持改善よりも、組合員の解雇や配置転換、賃金の支払など の個別的労働紛争を目的とした団体交渉を主たる目的としていることが多く、近年では、労働者との間で紛争が生じたときに、当該労働者が駆け込み寺的に合同労組に加入 するパターンも増えてきています。

 

3.合同労組からの団体交渉申入への対応

 

(1)団体交渉拒否の禁止

 皆さんの会社の社員が合同労組に駆け込んだ場合、合同労組から、団体交渉申入書等が送付されてくるなどして団体交渉の申し入れがなされます。

 団体交渉とは、「労働組合または労働者の集団が、代表者を通じて、使用者または使 用者団体と、労働者の待遇または労使関係上のルールについて行う交渉」(東京大学出 版会「詳解労働法」水町勇一郎著 より)とされています。団体交渉を正当な理由なく 拒むことは、禁じられています(労働組合法7条2号)。したがいまして、見知らぬ合同労組からの団体交渉申入だからといって、それを無視することは避けなければなりません。

 

(2)不誠実団交の禁止

 また、労働組合法7条2項は、単に団体交渉を拒否することだけではなく、団体交渉 のテーブルにつきつつも、誠実に交渉を行わないこと(不誠実団交)も禁じていると解 されています。したがって、交渉権限のない者に団体交渉を担当させて、その場では具 体的な協議をせずに「持ち帰って検討する」とだけ述べ続けたり、特に理由を示すこと もなく労働組合からの要求を拒否し続けるだけの態度をとったりするなどの不誠実な対 応をすることは許されません。

 このように、団体交渉に関しては、使用者に誠実交渉義務が課せられていますが、義 務となるのはあくまでも「誠実に交渉すること」であり、「労働組合に譲歩して合意す る義務」があるわけではないことには注意が必要です。互いに誠実に交渉を尽くして も、交渉が行き詰まってしまった場合に、使用者が交渉を打ち切ることは許されます。

 

4.結語

 

 以上のとおり、労働組合からの団体交渉申入には慎重に対応する必要があります。

 一方で、何もかも労働組合の要求通りにしなければならないというわけでもありません。例えば、団体交渉の場所や日時について、必ずしも労働組合の要求通りにしなけれ ばならないわけではありません。また、労働組合からの照会につき、期限を切って書面 での回答を求められた場合であっても、必ずしも労働組合指定の期限までに回答しなけ ればならないわけではなく、調査等に必要な合理的な期間の回答猶予を求めることも許されます。

 労働組合の交渉担当者は、労働組合法等の法令につき、相当程度の知識を有していることが多いですから、会社側担当者としても、十分な知識を身につける必要がありますし、必要に応じて専門家の助言を受けつつ対応することが重要です。

 本稿でご説明している内容は、労働組合対応に関するごく一部の事項に限られていま す。実際に労働組合対応を行うに際しては、それぞれの事案に沿った対応する必要があ りますので、弁護士等の専門家にご相談されることを強くお勧めします。

 

 

 こうべ企業の窓口には、労働組合法にも精通した複数の士業が在籍しています。具体的な事案に関するご相談のほか、社員教育等のためのオーダーメイド研修の実施等も対応しております。興味がおありの方は、ぜひ「こうべ企業の窓口」までご相談ください。

 

  (この内容は、2021年7月時点の情報です)

執筆者ご紹介

弁護士 中島健治(なかじま・けんじ) 

 

 中小企業や個人事業主が抱える日常的な法律問題処理(債権回収、契約書作成等)を多く手掛けています。従業員との間のトラブル(労働事件)も多く取り扱っています。社長や従業員の方個人に関する事件(交通事故、相続、離婚等)も対応可能です。

 

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