ホーム 〉My法務コラム 〉 司法書士執筆コラム 〉 司法統計でみる遺産分割事件

司法統計でみる遺産分割事件

司法書士 北尾浩一 (神戸海岸司法書士事務所)

国税庁が発表した資料によると平成 27 年中(平成 27 年 1 月 1 日から平成 27 年 12 月 31 日)に亡くなられた方(被相続人数)は約 129 万人(平成 26 年約 127 万人)、このうち相続税 の課税対象となった被相続人数は約 10 万 3 千人(平成 26 年約 5 万 6 千人)で、課税割合は 8.0%(平成 26 年 4.4%)となっており、平成 26 年より 3.6 ポイント増加しました。

 

平成 27 年 1 月 1 日以降、基礎控除が「5000 万円+1000 万円×法定相続人の数」から、「3000 万円+600 万円×法定相続人の数」に引き下げられたことに加えて都市部における路線価の 上昇や株高による遺産価格の上昇なども課税対象者の増加の背景にあると思われます。

 

最高裁判所が毎年刊行している「司法統計」によると遺族が遺産分割協議などで合意を 得られず、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件(調停や審判)も年々増加しています。 そこで「平成27年度司法統計年報 3 家事編」の中から家庭裁判所が取り扱った遺産分割 事件に関する興味深い数字をご紹介します。

 

まず、平成 27 年度に全国の家庭裁判所が扱った遺産分割事件は 12,615 件ありました(図 表1)。近年、件数は増加しています。

 

次に審理期間を見ますと「1 年以内」に 70.3%が終結している一方で 30%近くが長期化 しています。またその間に行われる審理の回数は 5 回以下が 61.7%、長期化した場合には 20 回を超えるケースもあります(図表2、図表3)。

 

 

争いの当事者の数は、「3 人」が一番多く、「2 人」「4 人」を加えると全体の 7 割近くにな ります(図表4)。では統計上、多くの場合が 2~3 人の相続人間で時間と費用と労力を費 やして争われる遺産の総額はどの程度でしょう。図表5によれば「5 千万円以下」が最も多 く、そのうち「1 千万円以下」が全体の 3 分の 1 近くになります。「争続」といえば莫大な 遺産をめぐり大勢の相続人が泥沼の争いを繰り広げるといったイメージをお持ちだと意外 な印象ではないでしょうか。

 

 

近年、権利意識の高まりの中で自己の相続分の主張が当然と考えられるようになり、ま た書籍やインターネットにより相続に関する様々な情報が入手しやすくなってきました。 核家族化による兄弟姉妹の価値観の相違や経済格差、社会の高齢化による介護負担の問題 などを背景に今後もますます当事者だけの話し合いでは解決できず裁判所に持ち込まれる ケースは増えてくると予想されます。

しかし、最終的な結果をみると実際に調停が成立するのは 6 割未満です(平成 27 年度)。 争いとなった遺産の中に事業用の不動産や自社株等が含まれている場合、経営に深刻な 影響を及ぼすことがあります。また「お家騒動」による顧客・取引先への影響もはかりし れません。

 

遺産相続をめぐる紛争を予防するためには遺言の作成が一般的に知られていますが最近 では「民事信託」の利用も普及してきました。遺言では対処できないような財産の管理・ 活用・承継を実現できる一方、税金面を含めて細やかな配慮は必要とされますので必ず専 門家と相談のうえメリット・デメリットを理解して活用してください。

神戸海岸司法書士事務所

司法書士 北 尾 浩 一

〒650−0024 神戸市中央区海岸通4丁目3番17号

清和ビル 38 号

TEL 078(599)5798 FAX 050(3730)0336

皆様へお願い

このコラムをご覧になって、専門家にお電話いただく際には、「『My法務コラム』を見て電話した」とおっしゃっていただけると、スムーズです。

宜しくお願いいたします。

こうべ企業の窓口

お問い合わせ先: ☎078 - 891 -6115 (平日9:00~18:00)

事務局: 〒657-0027 神戸市灘区永手町3丁目4-14-4F オネスト社労士事務所内