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いまさら聞けないハンコの話し

司法書士 北尾浩一(神戸海岸司法書士事務所)

新年度を迎える時期には事業活動や日常生活の中でハンコを押す機会が増えると思います。ネット通販や電子マネーに代表される電子商取引が急速に普及しつつあるとはいえ日 本国内ではまだまだハンコは重要な役割を担っています。 そこで今回はハンコの種類や押し方など、いまさら他人に聞けないハンコの基本的な知 識をおさらいをしておきましょう。

 

1.ハンコとは

私たちが普段「ハンコ」という場合、次の3つの総称として使用しています。

(ア)印章 いわゆるハンコ本体。木、水晶、金属、石、動物の角、牙さらに近年は合成樹脂 などを素材として特定の面に氏名等の彫刻を施し、その面に朱肉等を付け、紙など に押し付けることで、『特有の痕跡』を示すことができるものを「印章」と呼びます。

(イ)印影 「印章」により示された『特有の痕跡』のことを「印影」と呼びます。

(ウ)印鑑 市区町村役場等に届け出た「印影」を「印鑑」と呼びます。 つまりハンコを買いにいって「ハンコをください」という場合は「印章」を、稟 議書などの社内文書や書留郵便や荷物を受取る際に「ハンコをください」といわれ る場合は「印影」のことを指しています。

 

 

2.ハンコの種類

(ア)個人の場合

①実印

実印とは住民登録をしている市区町村役場に印影を登録しているハンコのことです。登 録された印影が「印鑑」であり、その印影を押すことができるハンコが「実印」です。市区 町村役場では登録された「印鑑」を証明してくれます(印鑑登録証明書)。この印鑑の登録 の際には厳格な本人確認を含めた慎重な手続きを求められ、また証明書の発行においても 「印鑑登録カード」や暗証番号による確認がおこなわれます。それゆえ、実印と印鑑登録証 明書をセットで持っている人は印鑑登録をした本人である可能性が高いと判断されます。 不動産の売却や銀行借り入れの際の担保設定等、慎重な本人確認が求められる場面で必 要となります。

②銀行印

銀行取引の際に印影を登録したハンコのことです。預金の払い戻しを受ける際にあらか じめ登録しておいた印影と同じ印影を払戻請求書に使用することで本人確認の手段のひとつとなっています。

③認印

認印とは実印と銀行印以外のハンコのことです。いわゆる三文判とも呼ばれ、日常生活の なかでもっとも使用頻度の高いハンコです。

 

(イ)会社で使用するハンコ

①代表者印

会社の実印です。一般的には「株式会社○○商事代表取締役印」等と彫られていることが 多いです。代表者印は会社の本店所在地を管轄する法務局にその印影を登録し、印鑑カード の交付を受けます。この印鑑カードがあれば全国どこの法務局でも印鑑証明書の交付を受 けることができます。個人同様、所有不動産の売却、担保提供の際に必要になります。

②社印 「株式会社○○商事之印」等と彫られた会社の認印です。代表者印が丸印であるのに対し 社印は角印を用いる会社も多いです。社印、各印、社判などの呼び方をすることもあります。 一般的に社外への書類(請求書、領収書等)に使用されることが多いハンコです。

③その他、銀行印や契約印など会社の実情に応じて目的を定めたハンコが使用されます。 会社では「印章管理規定」等を置き、会社の使用するハンコの種類、使用対象、管理責任 者、押印の手続き等を定め、数種類のハンコを適切に管理・使用するようにしましょう。

 

3.ハンコの押し方

(ア)契印

文章が複数ページから成立している場合にその文章が一連のものであり勝手にページを 追加したり差し替えられてりするのを防止する役割があります。ページの境目に押す方法 と背表紙を付けて袋とじにし、背表紙と表紙(表か裏の一方)の境目に押す方法があります。

(イ)割印

独立した別の文章が関連する文章であることを示すために各文書にまたがって押します。 縦長の割印専用のハンコを使用する会社もありますが使用するハンコが定められているわ けではありません。また文書の効果に影響するものでもありません。

(ウ)訂正印

文書に記載した字句を訂正(書き直し、削除、加筆など)した場合にその訂正部分に押す ハンコのことです。文書の訂正箇所を塗りつぶしたり、修正テープで隠したりせず二重線を 引き、その近くに訂正後の文言を記載します。そして文章の作成者全員で二重線付近に訂正 印を押します。これは文書作成者全員が了承のもとで訂正していることを意味しているの で使用するハンコは文書作成に使用したハンコ(契約書であれば当事者の署名のあとに押 されたハンコ)でなければいけません。訂正印を使用して訂正ができる項目には特に制限が ありませんが例えば契約書の金額、数量等の重要な事項に訂正がある場合は書類をあらためて作成するほうが良いでしょう。

(エ)捨印

文書の余白に押された印影のことです。捨印を押すということはその文章について個別 に自分の了解を得ることなく「ある程度」の訂正をしてもかまわないということを意味しま す。例えば契約書の中に明らかな書き間違え(誤字、脱字、誤変換など)があった場合、逐 一訂正印を押すことなく、捨印を利用して適宜訂正するほうが双方にとって負担が少なく なります。当然、捨印を使用して訂正できる範囲はできるだけ厳格に判断すべきで金額や数 量はもちろん、明らかな誤字・脱字以外の部分を訂正する場合には訂正印によるか文書その ものをあらためて作成する方法をお勧めします。

 

 

4.印鑑証明書の有効期限

市区町村役場(個人の場合)や法務局(会社の場合)に印鑑を登録し、その証明書の交付 を受けることは日常的によく利用されていると思います(ちなみに個人の証明書は「印鑑登 録証明書」、会社の証明書は「印鑑証明書」というのが正式名称です)。 ではそれぞれの有効期限はどうなっているのでしょう? 実は印鑑の証明書には一律の有効期限は定められていません。3ヶ月や6ヶ月といった 有効期限をよく耳にしますがそれらは証明書の提出目的・提出先により法令や独自の規定 により定められたものです。したがって3ヶ月を経過したら一律に無効になると考えずに 先ずは提出先に確認しましょう。

 

 

このほかにもハンコを利用する際には「署名捺印」や「記名押印」といったよく似た用語 の使い分けや、ハンコの有無による契約書等の効力の判断など話題は尽きませんがまた次 の機会にお話します。 

 

神戸海岸司法書士事務所

司法書士 北 尾 浩 一

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