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「建築物について」(後半)

一級建築士 青柳 宏和 (青柳設計一級建築士事務所)

前回は、既存不適格建築物について説明しました。今回は、違反建築物ついて説明します。
 
●違反建築物

一方、違反建築物ですが

・建築確認、完了検査等の適切な手続きを取って建設した後に改造され違反状態になってしまったもの。
 
 例 1階に駐車場があり、共同住宅を容積率一杯建てる計画で、完成検査を受けた後、

   駐車場部分をテナントに改造したもの。 容積率違反等の実態違反。

   (実態違反部分の是正必要)
 
・建築確認は行ったものの、完成検査を受けずに使用しているもの。

手続き違反(建築基準法 7 条の 6、検査済証を受けるまでの建築物の使用制限に抵触)

→確認申請は行っているが、完了検査の検査済証が出ていない建物について、その建物の用途変更建築確認や、増築の建築確認を行う事は出来ない事がほとんどです。

(鉄筋の本数や、コンクリートの強度等を証明する事が困難な為)
  
 例 道から見える範囲は確認申請通りだが、やたら奥行が大きく、建物が大きくなっているもの。

   当初の建築確認から逸脱してしまっている。
 
・必要な手続きを行わずに建築を行ったものなどがあります。

屋根がかかっていて柱があるか、屋根がかかっていて壁があるもの等は、建築物になります。

小規模な既製品物置でも、建築物になる時は、基礎に緊結して、鉄骨造の仕様規定等に適合するものに

する必要があります。(手続違反かつ実態違反)
  
 例 敷地内にプレハブ物置を数棟建てているもの 

 例 カーポート増築で建ぺい率違反(アルミニウム合金造) 

 例 テント記事の倉庫を建てた 

 例 大型の庇の下にプレハブ事務所を作ってしまった。
 
違反建築物のリスク

・建築基準法第 9 条により行政から使用制限や是正等の措置を命じられる場合があります。

(工事停止、使用禁止、除却等の命令、命令を無視した場合の行政代執行)

・事故が起きてしまった場合の責任(瑕疵(通常有すべき安全性の欠如)があり、瑕疵と事故の因果関係が認められた場合、占有者または占有者に過失がない場合は所有者)が問われる場合があります。

・違反建築物がある事によって、新たな建築行為をする前に、是正が必要になり、費用と時間をロスしてしまう。

 

 

 

上記のグラフは建築基準法の完了検査を受けた建物の割合を表しています。

平成 10 年の完了検査率で指定確認検査機関が0%となっているのは、平成11年に確認審査が民間に開放される以前で、全ての検査は行政が行っていた為です。

平成 10 年の時点では、完了検査率は 40%程度でしたが、現在では 90%程度が完了検査を受けています。

 

現在、完了検査の検査済証がない建物については、建築基準法や関連規定に適合しているかどうか判断できないので、増築を行ったりすることが困難です。

平成 26 年に国土交通省より「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」というものができ、建築確認は行ったが、検査済証のない建物について増築等の建築確認を行う場合、建築士が調査を行い、指定確認検査機関に届け出する事によって、検査済証がない建物の法適合性を調査する方法が示されました。

このガイドラインができた事を知った時、ついに検査済証がない建物の問題が解決される時が来たか!と期待しましたが、実際にこのガイドラインによって調査をしようとすると、膨大な手間がかかる上に、必ずしも良い結果がでるとはかぎらず、制度はできたがあまり活用できないのが実際だというところに大変がっかりしました。

完成検査を受け、検査済証を取得している建物でも、実際に建物に足を運んでみて思うのが、後からの改造や維持管理の不備で、大切な機能が損なわれてしまっていることがあります。

災害時に逃げる為の廊下や階段に物品が放置されていたりする事です。

建物で火災時に一番守る必要があるのは、階段とそこに通じる廊下です。初期避難をいかに安全・迅速にできるかで、被害が決まります。
 
また、一定規模以上の建物や、特定の用途の建物については、行政によって違いますが、1~3年以内毎に建築物や建築設備、防火戸の定期点検を行う義務があります。点検により、点検者(建築士や点検資格者)によって不具合箇所が報告された場合は、速やかに是正される事をお勧めします。

 

今回、違反建築物や既存不適格建築物について建築基準法を中心にお話しましたが、消防法・都市計画法・屋外広告物法・駐車場法等の法律や、バリアフリーについても建築基準関係規定として建築確認申請の中で審査されます。

また、建築基準法では審査の対象にはなりませんが、当然の事ですが民法の相隣関係等についても紛争にならないようにしておく必要があるかと思います。
 
ポイント

物件を探す時は、建築確認済、検査済があるものを探す。

建築確認申請が必要な行為をする場合は、確認済証、検査済証を取得する。

建築物に関して、分からない事があれば建築士に聞く。

青柳設計一級建築士事務所 
  青柳 宏和 
 神戸市西区井吹台西町1-6-6-703

TEL: 078-766-1920

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