ホーム 〉My法務コラム 〉 一級建築士執筆コラム 〉 ★コラムタイトル★

「建築物について」(前半)

一級建築士 青柳 宏和 (青柳設計一級建築士事務所)

本来の事業が上手くいって、経営の多角化の一環として収益不動産の保有・賃貸をする
場合や本社建物を購入する場合には、次のようなご注意が必要です。
 
●まずは大前提、建築物って何?

第二条
一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに
類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地
下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施
設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨(こ)線橋、プラットホ
ームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものと
する。
 
まず、上記は、建築基準法第2条第1項第1号の引用です。
建築物が定義されている部分です。屋根及び柱があるもの、屋根及び壁があるものはもち
ろん、門や塀、地下街なんかも建築物になるのです。そうかと思うと、駅のプラットホー
ム上屋、貯蔵槽は建築物から除かれています。
 
平成 27 年に小規模な物置は建築物として扱われないという取り扱いが出ました。ここでい
う小規模な物置とは、外部から荷物の出し入れを行い、内部に人が立ち入らない小規模(奥
行 1m以内又は高さ 1.4m以下 行政により異なる場合があるので要注意)なもので、それ
は、「貯蔵槽」として扱う為、建築物ではないというものです。屋根と柱若しくは壁があっ
て上記以外のものは建築物として扱われます。(上記を超える大きさの物置小屋、カーポー
ト等)
 
●既存不適格建築物と違反建築物について。
建築物に関わるとよく耳にする言葉です。どちらも法律に適合しない状態を表すので同じ
ように思われるかもしれませんが、両者は大きく異なります。
 
●既存不適格建築物
既存不適格建築物とは、工事着手前にその時点の建築基準法等に適合する事について建築
確認申請を行って確認を受けて建て、工事完成後に完成検査を行い、検査済証の交付を受
けた建物が、その後の法改正や、用途地域の見直し等によって現行の法規に適合しなくな
った状態のものを指します。建築基準法の既存不適格建築物については、そのまま使って
いる分には新たな規制は原則適用されません(建築基準法第 3 条第 2 項)。敷地内で増築や

大規模修繕等を行う場合、現行規定への適合が求められます(建築基準法第 3 条第 3 項)。
現行規定への適合が求められるとありますが、用途地域の既存不適格等、一定の規定につ
いては緩和規定があります。
 
○用途地域(建築基準法第 48 条)の既存不適格の例
改正前:用途地域定め無し 改正後:第一種中高層住居専用地域
 元々用途規制が無かった土地に工場が建っていたとします。ある日、用途規制がされ、
第一種中高層住居専用地域に定められてしまった場合、工場は用途地域の既存不適格にな
ります。その場合、基準時(いつその改正が施行されたか)の状態が重要になります。
 
〇用途地域の既存不適格で増改築できる範囲(緩和規定 建築基準法施行令第 137 条の 7)
 
・増改築が基準時の敷地内であり、かつ、基準時の敷地面積に対して、容積率・建ぺい率
の規定に適合する事。
・増築後の面積が、基準時の合計の 1.2 倍を超えない事。
・増築後の用途地域に適合しない部分の面積が、基準時の適合しない部分の面積の 1.2 倍
を超えない事。
・用途地域に適合しない事由が、原動機の出力、機械の台数、危険物等の数量の場合は、
それらの数値が基準時の 1.2 倍を超えない事。
・用途の変更を伴わない事
(既存不適格として、工場等では建物規模の上限が出来てしまう。
  増築時の手続きとしては既存不適格調書の作成必要)
 
〇日影規制(建築基準法第 56 条の 2)の既存不適格の例(緩和規定 なし)
用途地域の規制のない都市計画区域内 改正前:日影規制なし 改正後:高さ 10mを超え
る建物は日影規制が適用される。高さ 20mの事務所が敷地境界近くに建っており、現行の
日影規制で検討したところ、OUT になってしまう。
 
〇日影規制に関しては緩和規定が無いので、日影が OK になる高さまで建築物を低くするか、
建築基準法第 56 条の 2 ただし書きの許可申請(建築審査会の同意が必要、時間と費用が掛
かるが、許可されるとは限らない)を行う等が必要になり、同じ既存不適格でも緩和規定
がない為、建築物所有者の負担が大きくなります。
(建築審査会の同意がいる許可か、日影規制をクリアできるように建物を低くする、敷地
を増やす等。費用も時間もかかる)
 
違反建築物については、次回、解説します。

 

  青柳設計一級建築士事務所 
  青柳 宏和 
 神戸市西区井吹台西町1-6-6-703

TEL: 078-766-1920

 

皆様へお願い

このコラムをご覧になって、専門家にお電話いただく際には、「『My法務コラム』を見て電話した」とおっしゃっていただけると、スムーズです。

宜しくお願いいたします。

 

 

 

 

 

こうべ企業の窓口

お問い合わせ先: 078 - 891 -6115 (平日9:00~18:00)

事務局: 〒657-0027 神戸市灘区永手町3丁目4-14-4F オネスト社労士事務所内