業務量にふさわしい要員が確保できないために残業時間が増えるケースが目立っています。残業時間の増加は、人件費負担だけでなく、過重労働やメンタルヘルス不調の発生といった労働問題に発展するなど、経営を圧迫する事例が出てきています。経営の安定のためにも、残業時間削減対策は必須です。以下、いくつかのチェックポイントで確認していきましょう。
1.自社は特殊として対策をしていない
・業務に応じた「労働時間制度」の導入・活用をしているか
・企業特性や各部門別特性からみる労働時間管理はできているか
2.社員の要領や資質の問題
・残業に対する社員の心構えや態度を、指導・チェックしているか
3.タイムカードのみで時間管理している
・タイムカード=労働時間か?
・就業規則でルールを定めているか
4.残業するかしないかは誰が決めているのか
・労働時間=賃金か?
・残業の届出制・許可制
・ノー残業デー、ノー残業ウィーク
・代休制度の実施
5.無駄な残業削減はできているか
・5S運動の徹底
・ダラリの排除
6.残業する人を評価しがちである
・標準化・マニュアル化の推進(業務ごとの処理時間・処理方法の整備)
・従業員の能力・技術向上(多能工化、教育)
・人事評価制度の活用 (残業が少ないことを評価)
7.付き合い残業の社風がある
・業務の納期、進捗管理ができているか
・今日でなくてもよい仕事を明確に区別して無駄な残業をなくす
8.残業の多い部門と少ない部門がある
・部門間の協力体制(多能工化、教育)
・企画・開発部門等(進捗管理が各個人の頭の中にある場合は、アウトプットとの連動が必要)
9.営業の交渉力不足による受注
・業務量(時間)より、短納期の受注については、案件ごとに納期交渉する
・現状の業務量が把握できているか
10.管理職のマネジメント不足
・業務の処理時間の把握、社内での共有はできているか、受注から納品までの工程管理ができているか
・なぜマネジメントができないのか
・管理できない人が管理職になっている!
・社員のタイプを見極めているか
・作業の終わりを想定してから着手しているか
・タスクの終わり時間を先に決めてから作業を開始しているか
・予定・実績、日報は管理職がチェックしているか
その他1.作業効率化:無駄な作業の発見・見直し
・作業予定・実績の記録
・会議・打ち合わせの見直し(上司の暇つぶしの会議・打ち合わせは廃止、会議の在り方、議事録作成などの見直し)
・ITの導入(販売管理・在庫管理など)
その他2.残業時間と賃金
・サービス残業のリスクはないか
・不必要な残業代を払っていないか
その他3.残業手当の計算方法がわかっているか
・基本給に残業代を込みで払っていないか
その他4.残業単価の見直し
・法定労働時間と所定労働時間、法定休日と所定休日、休日と休暇の使い分けができているか
その他5.就業規則が現状と合っているか
・不必要・高額な残業単価になっていないか
その他6.残業代未払の指摘を受けやすいパターンは
・役職手当・営業手当型(役職手当・営業手当で残業代をカバーしている)
・上限設定型(最も多いパターンで、残業は何時間までと決めてしまいそれ以上働いても、残業代を払わない)
・定額で残業代を払っている(営業職など時間管理の難しい職場に多い)
・下限設定型(月何時間以上残業した分のみ支払っている。残業があまり発生していない職場に多い)
・年棒組込み型 (年棒に入っているとして残業代を支払わない)
賃金については、少ない場合は賃金の全額払いに違反することになり、法違反になります。また、賃金規程等就業規則の変更において、不利益変更などの場合はトラブルに発展することがあります。詳細条件等については、専門家である社会保険労務士にご相談ください。
上記の内容をわかりやすく解説する、「残業時間を徹底的に削減する、知っておきたい 10 のポイント」セミナーを、神戸商工会議所東神戸支部にて、平成28年8月4日(木)14:00~15:30より行います。ぜひご参加ください。
※編者注:庄司茂社会保険労務士のセミナーは好評のうちに終了いたしました。
社会保険労務士 庄司茂(しょうじ・しげる)
「人事評価制度導入支援」:頑張った人を評価するシステムづくり、「就業規則作成」:問題社員対策・リスク対応型就業規則の作成、「助成金・補助金申請支援」:厚労省・経産省など、「経営者向け労務管理セミナー」を得意分野としています。
1.人事評価制度導入支援
2.リスク対応型就業規則作成
3.助成金・補助金申請支援
社会保険労務士法人庄司茂事務所
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このコラムをご覧になって、専門家にお電話いただく際には、「『My法務コラム』を見て電話した」とおっしゃっていただけると、スムーズです。
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