神戸商工会議所主催“頑張る企業応援セミナー‛24”では、8 月1日神戸国際会館において『人材採用』と『インボイス制度』セミナーと経営相談会を行いました。セミナーで参考になったこと、気づきに繋がったことがありましたら幸いです。
さて、『人材採用』時においては、働く方々がその方のキャリアプラン、ライフ・マネープランに沿って、どの様な形態で働いていくのかということも重要な事です。
私が中学生の頃(1980 年頃)のサラリーマン家庭は、「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」は 1,114 万世帯、これに対し「雇用者の共稼ぎ世帯」は 614 万世帯であり、これが 2020年には 571 万世帯に対し 1,240 万世帯となりほぼ逆の世帯数となり、日本のサラリーマン家庭のありかたは随分変わりました。(図表 1-1-3:共働き等世帯数年次推移) また、働き方についても 1980 年頃と現在では大きく変化し、この間に派遣社員が登場したり、ICT の発達などにより多様化しています。
1 社会保険の適用拡大
この様な働き方の多様化に対し、政府は、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大(以下「適用拡大」という)ということで、
- ① 被用者でありながら国民年金・国民健康保険加入となっている方に対して、被用者による支えあいの仕組みである厚生年金保険や健康保険による保障を確保することで、被用者にふさわしい保障を実現すること。
- ② 労働者の働き方や企業による雇い方の選択において、社会保険制度における取り扱いにより選択を歪められたり、不公平を生じたりすることがないようにすること等により、働き方や雇用の選択を歪めない制度を構築すること。
- ③ 適用拡大によって厚生年金保険の適用対象となった方が、定額の基礎年金に加えて報酬比例給付による保障を受けられるようになること等を通じて、社会保障の機能を強化すること、
として取り組みを進めてきました。
この適用拡大が段階的に進められ、令和 6 年(2024 年)10 月からは、従業員数 51 人以上 100 人以下の企業についても一部のパートやアルバイトの 方を除き厚生年金保険・健康保険の加入が義務化されます。(従業員数「50 人以下」の企業等においても、従業員と企業等が合意することで同じ加入要件にすることが可能です。)適用拡大によりボーダーラインとなる方は、現在の年齢から、短期的及び長期的にメリット・デメリットをよく考えて働き方を選択したらよいのかと思います。
2 「社会保険適用時処遇改善コース」
適用拡大に伴い、社会保険料の負担が変わる事業主に対する助成金の支援制度についてご紹介します。
2023 (令和 5)年 10 月から、キャリアアップ助成金に「社会保険適用時処遇改善コース」が新設され、労働者を新たに社会保険に加入させるとともに、収入を増加させる取り組みを行った事業主に助成されます。
(1)手当等支給メニュー
要件 | 一人あたり 助成額 |
①賃金の 15%以上を追加支給 (社会保険適用促進手当など) |
1 年目 20 万円(注) |
②賃金の 15%以上を追加支給 (社会保険適用促進手当など) 3 年目以降、③の取組 |
2 年目 20 万円(注) |
③ 賃金の 18%以上を増額 |
3 年目 10 万円 |
(注)1,2 年目は取組から 6か月ごとに支給申請(1 回あたり 10 万円支給)
◆社会保険促進手当 | |
事業主が社会保険適用に伴い手取り収入を減らさないように手当を支給した場合は、 本人負担分の保険料相当額を上限として社会保険料の対象としません。 |
(2)労働時間延長メニュー
週所定労働時間の延長 | 賃金の増額 | 一人あたり 助成額 |
4時間以上
|
ー |
30万円 |
3時間以上 4時間未満 |
5%以上 |
|
2時間以上 3時間未満 |
10%以上 |
|
1時間以上 2時間未満 |
15%以上 |
※ 助成額は中小企業の場合。大企業の場合は 3/4 の額。
※ (2) 4 時間未満の延長の場合は、併せて基本給の増額が必要。
※ 1 年目に(1)①の取組による助成(20 万円)を受けた後、2 年目に(2)の取組による助成(30 万円)を受けることも可能(併用メニュー)。
(上述の組み合わせの場合に限り、同一の対象者についてメニューをまたいだ助成を受けることができます。)
※本助成金については、2023(令和 5)年 10 月 1 日から 2026(令和 8)年 3 月 31 日までの間に新たに社会保険の加入用件を満たし、適用されることとなった労働者が対象になります。
詳しくは、厚生労働省 HP「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース) をご参照ください。」
もしくは社会保険労務士にご相談ください。
<参考資料>
ご自身ではよくわからない!もっと具体的に知りたい!という場合は、是非こうべ企業
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執筆者ご紹介
社会保険労務士 石渡弘則(いしわた・ひろのり)
昭和最後の年度の入社から33年間の会社員生活にピリオドをうち、社会保険労務士として独立開業致しました。入社当時はパソコンも携帯電話もない時代でしたから、今はありとあらゆることが大きく変わりました。今後もますます変わっていくことでしょう。私たち自身も時代の変化、環境の変化に合わせ変わっていく必要があります。皆様とのコミュニケーションを大切に、お互いが知恵を出し合い、発展に貢献できればと思います。
i.d.r.石渡社労士事務所
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